適応障害とは

【ストレスで辛い方へ】その悩み適応障害の入り口かも。対策と治し方とは

 

ロボ太郎
この記事では、「適応障害」とは何か、について基礎的な知識を解説し、
そこに至る心理的、脳科学的、肉体的なメカニズムについて解説しています。
適応障害は誰でもなりうる身近な問題であり、そのことを知らずに無理をしていると、
うつ病にも至ってしまう大変な問題です。そこに至る流れについて理解すれば、それが単なる気合の問題ではないことが分かり、どのような対処策をしていけばよいかが分かります。

適応障害とは

適度なストレスは良い刺激となり 、活力と集中力をもたらします。

それに、どんなストレスであってもそれが一時的なものであるならば、
時間の経過と共に回復し、むしろ前よりも強くなった姿で戻ることすら可能です。

しかし、それがあまりに重いとダメージが回復を上回ります。

そして、その状態が長期に渡るとき、
私たちの心は狂い、ストレスへの適応能力を失ってしまいます。

突然ですが質問です。

  • 朝、会社、学校に行きたくない
  • 不安やイライラがずっと続いている
  • このままいくと自分が壊れてしまいそうだ

そのような悩みや問題を抱えてはいませんか?

今日の記事では、「適応障害」について解説します。

「適応障害」は他人事ではなく、実は非常に身近な問題です。

それはいわば心と体のSOSサインであり、それを無視して心と体を酷使し続けていると、
うつ病へと至るとても危険なサインです。

適応障害は心の問題である以前に、環境の問題です。

知らず知らずのうちに自分を追い込む環境にはまり込んでしまう前に、
十分な対策をとり、心と体からのSOSサインが出たときのための対処策について学んでおく必要があります。

今日の記事では、そんな適応障害について、私たちに身近な問題として分かりやすく解説していきます。

是非最後までご覧ください。

 適応障害の原因

適応障害とは

適応障害とは、ごく普通に社会生活を営んでいた人が、ストレスを感じるようなある特定の出来事を前にして、
最初はうまく対処できていたのに徐々に対処しきれなくなり、無気力、慢性疲労、抑うつ気分、食欲不振、睡眠障害といった様々な症状が出てくるようになる障害のことです。

一言でいえば、環境にうまく適応できないことで生じる心のトラブルです。

うつ病との大きな違いでいうと、ストレスの原因がはっきりとしており、
そのストレスから離れられるような、遊びや趣味の世界では元気に過ごせます。

もちろん、うつ病に至る道は様々ですが、適応障害の延長線上にもうつ病はあり、その意味でうつ病未満の疾患であるともいえます。

適応障害の原因となるストレスとしては例えば、

  • 昇進に伴う責任の増大
  • 執拗に続くパワハラ
  • 終わりの見えない多忙なスケジュール
  • いじめや孤立といった人間関係の悪化

など。

いずれにしても、ある特定のストレスの原因に対して、本人が「とてもつらく耐えがたい」と感じるような状態が続くとき、適応障害に至る可能性が高いといえます。

適応障害に至る心と体のメカニズム

外部要因と内部要因

それでは次に、耐えがたいようなストレスを前にし続けた結果、心と体に一体どのような事が起きているのかについて解説します。

まず、適応障害に至るプロセスには、外部要因と内部要因とがあります。

外部要因とは、先ほど列挙したようなストレスの原因となる出来事です。
内部要因とは、ストレス対処能力が高いか低いかといった能力的な要因と、疲れやすいや傷つきやすいといった性格的な要因があります。

同じストレスを前にしても、人によってうまく適応できる場合と適応できない場合とがあるのは、そうした内部要因に違いがあるからです。

そして、この外部要因と内部要因のバランスによって、
ストレスから受けるダメージとその人が持つ回復力との関係が決まり、
ダメージが回復力を上回る状態にいるとき注意が必要な状況です。

適応障害に至る三段階

適応障害に至る三段階

そうした外部要因・内部要因に加え、適応障害に至るには段階があります。

それは、警告期、抵抗期、疲弊期の3段階です。

警告期では、イライラ、緊張といった形でストレスに対して体が反応します。
抵抗期では、ストレスを前に心身が活性化し活動的になります。
疲弊期では、ストレスに抵抗しきれなくなり心身に不調が生じ始めます。

つまり、適応障害とはストレスを前にうまく適応できず、ダメージが回復力を上回る期間が長く続き、疲弊期に至っている状態であるといえるのです。

さて、ここではさらにもう少し踏み込み、この疲弊期において体内でどのようなことが起きているのかについても見てみましょう。

抗ストレスホルモンの枯渇

抗ストレスホルモン

適応障害だけではなくストレスに起因する問題には、抗ストレスホルモンと呼ばれる一連のホルモンの働きが関係しています。

まず、私たち人間はストレスに直面すると脳の視床下部という部位がそれを認識しCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌します。

次にCRHは、脳下垂体という部位と自律神経の交感神経中枢に働きかけ、
脳下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)とβエンドルフィン、交感神経中枢からノルアドレナリンの分泌を促します。

そしてACTHは副腎に作用し、コルチゾールの分泌を促します。コルチゾールは全身の代謝を高めて肉体に活力をもたらします。βエンドルフィンは脳内麻薬として働き不安や緊張を和らげます。

そしてノルアドレナリンは副腎に作用してアドレナリンの分泌を促し肉体のパフォーマンスを高めます。

ストレスに直面すると、そうした一連の流れによって、コルチゾール、βエンドルフィン、アドレナリンといった抗ストレスホルモンが私たちの肉体を駆け巡ります。

そして、全身の交感神経が刺激され、ストレスに立ち向かえるような戦闘モードへと私たちの心身のコンディションを導いていくのです。

ここまでが、先ほどの三段階の抵抗期です。しかし戦闘モードはいつまでも続くことはありません。というのも、そうした抗ストレスホルモンは無限に分泌されることはなく時間の経過と共に枯渇していくからです。

その結果、代謝や免疫力は下がり、自律神経の調整機能が低下し、疲労、倦怠、食欲不振、不眠、抑うつ、といった状態に陥ります。

その状態こそが、適応障害に至る最後の段階の疲弊期のことであり、まさにストレスに対して心と体が適応しきれなくなりバランスを崩してしまった状態なのです。

それでは一体どうすれば、適応能力を失って不調をきたしてしまった心身を回復させることが出来るのでしょうか。また、そうなってしまうことを予防できるのでしょうか。

適応障害から回復し予防する方法

適応障害をはじめとしたストレスを原因とする問題と向き合うにおいて大切なことは、

セルフケアとセルフコントロールの視点を重要視するという事です。

セルフケアとは自分で自分の心身をメンテナンスをすること。
セルフコントロールとは私生活面から精神的な内面生活面まで、環境や気分に流されるのではなく、自らの意志で主体的に自分の行動を選択していくこと。

一見当たり前のことですが、難しく実は技術のいることです。

それではこれから、適応障害のみならずストレスを前に心身のバランスを崩してしまうことを予防し、またダメージから回復していく方法を解説していきます。

①ストレスの原因から離れる

適応障害の直接的な原因はストレスを感じる出来事にあるわけですから、そうしたストレスから距離をとってしまうことが一番効果的です。

しかし、それが仕事や家庭の問題といったような時、ストレスから距離をとるというのは簡単なことではないことでしょう。

ただ、だからといって向き合い続け潰れてしまうよりは、何かしらの工夫を加えて物理的・心理的な距離を取れないか検討してみて下さい。

例えば、

  • 時間帯を変えたり場所を変えることで距離をとれないか
  • 逃げてはダメだと思い込んでいるだけで、実は逃げてしまっても大した問題にならないのではないか
  • 「しばらく休ませてもらう」という形で離れることはできないか

そのようにして、ストレスから物理的・心理的に距離をとれる方法はないか、「離れることはできない」といった思い込みから抜け出して、その方法がないか模索してみましょう。

②ストレス耐性を高める思考法

先程の方法が外部要因を取り除く方法であるならば、内部要因のストレスへの対処能力を高めるというアプローチも効果的です。

その方法として、ストレス耐性を高める思考法を3つ紹介します。

成長マインドセット

それは、

まず、成果よりも成長に重きを置く成長マインドセットを心がけましょう。成長マインドセットとは、何事においても、そこから自分が何を学び成長できたかについて注目する思考法です。

成長マインドセットを持っておけば、ストレスを前にしても、
その困難の中にポジティブな意味合いを見出すことができます。

脱完璧主義

次に、完璧主義にならず期待値を下げるようにしてみましょう。
期待値を下げるというとネガティブな印象がありますが、それはつまり良いところ探しをする思考法です。

完璧主義をやめ、期待値を下げれば、自ずと物事の良い面が見えてきます。

マインドフルネス

そしてもうひとつ、それはマインドフルネスです。

マインドフルネスとは、「今」に心を定める意識習慣です。

たとえ目の前にストレスの原因が無かったとしても、頭の中でそのことについて考えてイライラしたり不安を感じていては、

目の前にストレスの原因があるのと同じようなものです。

過去や未来に心を彷徨わせず、「今」というこの一瞬の一点に心を定めることで、無駄な脳疲労を防ぎ回復力を高めることができます。

  • 成長に重きを置く成長マインドセット
  • 完璧主義にならず良い所を探すマインド
  • 無駄な脳疲労を防ぐマインドフルネス

それらを心がけてみてください。

③ちゃんと休む

適応障害から回復し、そして予防するための3つ目の方法は、「ちゃんと休む」ということです。

私たちは、「休んでいるようでちゃんと休めていない」ということが多くあります。

休むというのも、一つの技術です。

  • 何事も気合で乗り切ろうとしてはいないか
  • 家に帰っても明るい画面を見て夜ふかしをしていないか
  • 休日なのに予定を入れて忙しくしてはいないか

適応障害は、ストレスからくるダメージが、人がもつ自然な回復力を上回る状態が長く続いた結果、

抗ストレスホルモンが枯渇し、心身のバランスを崩してしまった状態です。

なんとか適応できているのは、抗ストレスホルモンが分泌されて体が戦闘モードを保てているからです。

休むことを疎かにしていると、抗ストレスホルモンは気づいた時には枯渇し、頑張りたいのに頑張れないという状態になってしまいます。

「休む」というのも一つの技術であるという認識をもち、積極的に休むということを心掛けて見てください。

まとめ

今日の内容は、複雑でしたので最後に知識のまとめをしておしまいにします。

適応障害は、誰でもなりうる非常に日常的な問題です。

それは、ごく普通に社会生活を営んでいた人が、ストレスを感じるようなある特定の出来事を前にして、
最初はうまく対処できていたのに徐々に対処しきれなくなり、無気力、慢性疲労、抑うつ気分、食欲不振、睡眠障害といった様々な症状が出てくるようになる障害のことです。

適応障害には、はっきりとした特定のストレス要因があることが特徴ですが、それに対処する能力や性格的な問題が重なり、ダメージが回復力を上回る期間が長く続いた結果、心身の適応能力が損なわれ発症します。

そして、その時に起きている体内のプロセスについて理解すれば、それが気持ちの問題ではないことが分かります。

私たちは、ストレスを感じるような出来事を前にすると、抗ストレスホルモンと呼ばれる一連のホルモンが分泌されます。

抗ストレスホルモンが分泌されているうちは、心と体は戦闘モードを保ち、
乗り越えて行くことが出来るのですが、そうした戦闘モードは長続きはしません。

というのも、抗ストレスホルモンは無限にあるわけではなく、枯渇するものだからです。

そうして、長引くストレスを前に、抗ストレスホルモンが枯渇し、戦闘モードになれなくなった時、

それでもストレスに立ち向かわなければならないという状況に置かれると、心と体は悲鳴をあげ、様々な不調が生じ始めるのです。

その状態こそが、適応障害であり、まさにストレスに対して心と体が適応しきれなくなりバランスを崩してしまった状態なのです。

そうした状態から回復し、また予防する方法として3つの対策を紹介しました。

まず、ストレスの原因から心理的、物理的な距離を取れないか考えてみてください。

次に、ストレス耐性を高める思考法を心がけてみてください。

その方法として例えば、

  • 成長に重きを置く成長マインドセット
  • 完璧主義にならず良いところを探すマインド
  • 無駄な脳疲労を防ぐマインドフルネス

を紹介しました。

そして最後に、「休む」ということも一つの列記とした技術であるという認識を持ち、積極的に休むことを心がけてください。

適応障害は、身近な問題です。程度の差こそあれ、誰しもが陥る可能性のある問題です。

・朝、会社、学校に行きたくない
・不安やイライラがずっと続いている
・このままいくと自分が壊れてしまいそうだ

冒頭で質問したようなそれらの項目に近い状態にいると思われるなら、
今日紹介した対処策の実践を意識してみてください。

メンタルの塔との関連付け

最後に、メンタルの塔との関連づけをしておしまいにします。

メンタルの塔とは、このチャンネルで特に一押ししている心と体の健康維持に役だつイメージです。

関連記事

https://youtu.be/ME0E8rm1HTM 「メンタルの塔」とは何かについて紹介していきます。 メンタルの塔とは「メンタルの塔」とは、人間の精神状態を地下10階から地上10階[…]

メンタルの塔とは

今日のテーマの適応障害とは、まさに塔の上へ上へと登り続けた結果、
心身の限界が来て地下へと真っ逆さまに落ちてしまい、そこから戻れなくなってしまった状態です。

ただ、適応障害にはそこに至るメカニズムがあり、その理解と回復のための具体的な実践方法を知っていれば、自分なりのペースを取り戻して元気な状態に戻ることができるはずです。

メンタルの塔の解説でも繰り返し触れるように、上がり過ぎず、下がり過ぎない、そんな自分にとって居心地のよい状態を維持できるように、

心身のコンディションを整えていくための知識と技術を一緒に学んでいきましょう。

この記事の内容が何か一つでもあなたのお役に立てておりましたら幸いです。

・適応障害とは
・ごく普通に社会生活を営んでいた人が、ストレスを感じるようなある特定の出来事を前にして、最初はうまく対処できていたのに徐々に対処しきれなくなり、無気力、慢性疲労、抑うつ気分、食欲不振、睡眠障害といった様々な症状が出てくるようになる障害のことです。
・ストレスの原因がはっきりしており、遊びや趣味の世界では元気になれる・適応障害の原因となるストレスの例
・昇進に伴う責任の増大
・執拗に続くパワハラ
・終わりの見えない多忙なスケジュール
・いじめや孤立といった人間関係の悪化
・など・適応障害に至る心と体のメカニズム
・外部要因
・ストレスの原因となる出来事
・内部要因
・ストレス対処能力
・性格的な要因
・適応障害に至る三段階
・警告期
・抵抗期
・疲弊期・ストレス反応の仕組み
・視床下部がCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌
・CRHは、脳下垂体という部位と自律神経の交感神経中枢に働きかけ
・脳下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)とβエンドルフィン
・交感神経中枢からノルアドレナリン
・ACTHは副腎に作用し、コルチゾールを分泌
・βエンドルフィンは脳内麻薬として働き不安や緊張を和らげる
・ノルアドレナリンは副腎に作用してアドレナリンの分泌を促し肉体のパフォーマンスを高める

・ストレスが原因の心身の不調から回復し予防する方法

①ストレスの原因から離れる
・時間帯を変えたり場所を変えることで距離をとれないか
・逃げてはダメだと思い込んでいるだけで、実は逃げてしまっても大した問題にならないのではないか
・「しばらく休ませてもらう」という形で離れることはできないか

②ストレス耐性を高める思考法
・成長に重きを置く成長マインドセット
・完璧主義にならず良い所を探すマインド
・無駄な脳疲労を防ぐマインドフルネス

③ちゃんと休む
・何事も気合で乗り切ろうとしてはいないか
・家に帰っても明るい画面を見て夜ふかしをしていないか
・休日なのに予定を入れて忙しくしてはいないか

この動画の内容は動画でも解説していますので合わせてご視聴ください。

↓↓↓

 

 

適応障害とは
最新情報をチェックしよう!