- 「嫌われる勇気」でもおなじみのアドラー心理学の「目的論」についてもっと詳しくなれる!
- 目的論と原因論との違いへの理解を深めることが出来る!
- 目的論をどのように採用し活用するのが正しいのかが分かる!
この記事では、「嫌われる勇気」でもおなじみのアドラー心理学について、その重要なコンセプトの1つである「目的論」について、もっと詳しく、もっと分かりやすく深掘りをして解説をしていきます。
アドラー心理学応用編
みなさんこんにちは!ライフハックアニメーションです!
今日の記事では、嫌われる勇気でもお馴染みのアドラー心理学について、
その重要なコンセプトの1つであると同時に誤解されることも非常に多い
目的論
を、
もっと詳しく、もっと分かりやすく解説していきます。
当サイトでは、
アドラー心理学を一連のシリーズとして詳しく取り扱っており、
今回の内容は、その応用編となります。
もっとアドラー心理学について詳しくなりたいという方は、この動画の後に是非他の記事もご視聴ください。
https://www.youtube.com/embed/8wfjJvL1FvU アドラー心理学で説明される「課題の分離」について理解が深まる! 課題の分離がなぜ大切なのかが分かる! 課題の分離に関する疑問を解消[…]
それでは早速始めて行きます。
是非最後までお楽しみ下さい。
目的論とは?
目的論とは何か?
その疑問に端的に答えるならばそれは、
原因論と対になる考え方であり、
人間の行動は、過去の原因によって決められるのではなく、未来の目的によって決められる
とする考え方です。
そして、
そうした考え方に基づく事によって、
アドラー心理学では人は誰しもが自分を今すぐ変えることが出来ると説明します。
この目的論は、
アドラー心理学における5つの基礎理論の1つを担っており、
目的論無しにはアドラー心理学を理解する事は出来ないと言っても過言ではありません。
https://www.youtube.com/embed/uJkVYlsTSXA アドラー心理学の技法の大きな目的が分かる! アドラー心理学を支える5つの基礎的な理論が何かが分かる! アドラー心理学関連([…]
原因論と目的論の違い
さて、
目的論についての理解を深めるためには、
原因論と比較してみることが効果的です。
ここではその理解を深めるために、
- 過去のトラウマが原因で家に引きこもっている人
- 怒りを抑えられずトラブルにすぐ巻き込まれる人
の2つの事例について原因論と目的論との違いを踏まえながら解説します。
引きこもりの場合
まず、
過去のトラウマが原因で家に引きこもっている人というのは、
原因論で捉えるならば、まさに過去の何かしらの出来事によるトラウマが原因で外に出られなくなった
と説明されるでしょう。
しかし、目的論で捉えるならば、その人は
外に出ない、もしくは家の中に居続ける
という目的を達成するために、
家に引きこもるという行動を選択しているとされます。
さらにその目的について言及すると、
親の注目を集め続けるため、であったり、
人と比べられるのを避けるため、
といった目的がそこには隠れているとされます。
もちろん、人によってその目的は異なりますが、
自分を変えられないと思う事の目的というのは、
いろいろと現状に不満はあったとしても、
このままの自分でいる方が、楽であり安心できるため、
現状維持こそが目的となってしまっているわけです。
怒りやすいという場合
次に、
怒りを抑えきれずトラブルにすぐ巻き込まれる
と言うのは、
原因論で捉えると怒りを生み出す原因がまずあって、
その怒りのせいで我を失い、すぐトラブルに発展する
と説明されるでしょう。
しかし、目的論で捉えるならば、
その人は、ある特定の目的を達成するために怒りを生み出している、
つまら怒りという感情を利用しているとされます。
その特定の目的というのは、例えば、
相手を手っ取り早く降伏させるため、であったり相手の反逆を予防するため、といった目的が考えられます。
現実に対する着眼点が異なる
このように、
原因論というのは、
現在の状況を、過去の特定の出来事によって、その因果関係を説明しようとするのに対して、
目的論では、
現在の状況を、未来を踏まえた目的によって、その因果関係を説明しようとするという違いがあります。
つまり、
原因論では、現在は常に結果であり続けますが、
目的論では、現在は常に手段であり続けます。
それでは、
一体どうして、原因論に立脚するのではなく、
目的論に立脚するべきであると、
アドラー心理学では説明されるのでしょうか。
今度はその理由及び、
目的論をどのように捉えて行くのが正しいのか、
というお話をしていきます。
目的論をどう捉え、どう活用するべきか
まず、どうして目的論に立脚する事が好ましいのかというと、
目的論に従うことによって、
あらゆる行動は未来の目的のための手段である、という着眼点を常にもつに至り、
現在の行動を変えることによって、いくらでも未来は変えられる、
というまさに、
前向きな姿勢を維持出来るからです。
そのため、アドラー心理学では、
人は誰でもその性格を変えることが出来、
あらゆる悩みから解放されることも可能であり、
そして幸せな未来を選択する事は誰であっても今すぐ可能であるとするのです。
一方で原因論については、
それを突き詰めていってしまうと、
現在は過去の結果であり、過去を変えられない以上、現実は変えられないというように、
自分の過去によって、自分の現在及び未来を縛り付けてしまいます。
原因論も目的論も、過去は変えられないものとする点は同じですが、
その上での着眼点が全く異なっています。
今を起点に、じゃあこれからどうしたいか、
というように、常に前向きになれるという意味において、
目的論は非常に合理的な人生観であるといえるのです。
目的論も行き過ぎは良くない
もちろん、目的論に、理論的な脆さが無いというわけではありません。
目的論もそれを突き詰めすぎると、
今度は過去を踏まえず、先の事しか考えなくなるので、
それはそれで合理的であるとはとても言えなくなってきます。
そのため、
目的論をどう活用するか、
という観点からは、
原因論に寄りすぎてしまっている自分を、
バランスの取れた状態に修正するために、
目的論の考え方を採用するというのが、
好ましいと言えます。
つまり、
目的論も原因論も両方とも過ぎたるはなお及ばざるが如しなわけですが、
ストレスを抱えていたり、悩みに苦しめられている人というのは、
原因論の側に寄り過ぎている事が多いため、
その行き過ぎを緩和するために、
目的論の考え方を採用すると良いでしょう。
目的論の採用の方法
目的論の採用の仕方というのは、
今自分が抱えている、ストレスや悩みの種を、過去ではなく、未来に探します。
未来にその種を探すとは、
そのストレスや悩みによって達成されるであろう目的を未来に探すのです。
そして、その目的を見つけたのなら、その目的を維持するか、変えるかのいずれかを選びます。
例えば、ネガティブな性格を変えたいと思っているものの、過去のトラウマやコンプレックス、
または自分の根本的な気質のせいで、
その性格を変えられないと思っていたとしましょう。
原因論で捉えるならば、
その主張はもっともなわけですが、
その主張を認めてしまうと過去を変えられない以上、自分はもう変えられないことになってしまいます。
ここに、目的論を登場させるとどうなるのかというと、
ネガティブな性格によって達成されている目的は何かをまず見つめます。
それは人によってもちろん異なりますが、
例えば、
人付き合いのめんどくささを避けるという目的があるかもしれませんし、
将来を慎重に捉え安全な道を選べるようにするという目的があるかもしれません。
また、もしかしたら
ネガティブな性格という自分の社会的評価を維持し、
これまで構築してきた人間関係を維持するため、
という目的があるかもしれません。
このように目的を考えてみると、
そもそも悩んだりストレスに感じたりする必要性が無かった事に気づくという事も多々あります。
例えば、先ほどのように、
人付き合いのめんどくささを避けるため、であったり将来を慎重に選択するためにネガティブな性格を採用している、
という目的に賛成できるのなら、
そもそもネガティブな性格について悩む必要性は無くなります。
なぜならば、
そのネガティブな性格によって自分が望む目的がまさにちゃんと達成されているからです。
「ネガティブは良くない」という漠然とした社会的な価値観に縛られていただけであったことに気づくことでしょう。
一方で、
見つけ出した目的に賛成できず、それを変えねばならないと思った場合には、
その目的を大胆に変える勇気を持つ必要があります。
先ほどの例で説明をすると、
ネガティブな性格を変えない事によって、これまでの人間関係を維持する
という目的を自分の中に見出した場合、
ネガティブな性格を変えるためには、
人間関係が変わってくる可能性を勇気を出して受け入れることによって初めて、
ネガティブな性格を変えることが出来るようになるわけです。
目的論で導かれる前向きな結論
このように、
目的論に基づいて今の自分の状況を見つめてみることによって、
現状維持で良くて別に悩む必要はそもそも無かった、という結論か、
現状を変えるには、今ある目的を大胆に変える勇気が必要だ、という結論のいずれかに至ります。
いずれの結論に至ったとしても、
後ろ向きの
感情に縛られるのではなく、
前向きな行動指針が得られるという事です。
ここにこそ、目的論の良さがあります。
アドラー心理学の目的論まとめ
以上いかがでしたか?
この記事では、アドラー心理学における重要な基礎理論の1つである
目的論
について、具体例も交えながら解説をしてきました。
このような考え方を提唱するアドラー心理学に対して、皆さんはどのように思われたでしょうか。
おそらく、
「アドラー心理学は手厳しい!!」
と思われたことでしょう。
なぜならば、悩みに対して共感してくれるのではなく、
「悩んでいることを自ら選んでいるのだ!」
と突きつけてくるからです。
しかし、
他人事として考える時には目的論を持ち出す事は理不尽だと思ってしまいがちですが、
自分の悩みについて、まさに目的論に従い再考してみると、
確かにアドラーの言う通り、自分の悩みというのは、何か他の目的を達成するために、
自分で選択していたのだなあ。
と納得できるかと思います。
そして、もしその目的を変えなくては行けないと思ったのならば、
次に必要なのは、その目的を変える勇気を持つだけです。
言い換えるならば、
変わらない事でつきまとう「不満」を捨て、
変わる事で生まれる不安に立ち向かう勇気を持つ
と言う事です。
アドラー心理学が、「勇気づけの心理学」と呼ばれる所以はまさにそこにあります。
今日の記事では目的論に絞って解説をしてきましたが、
当チャンネルでは段階を踏んでアドラー心理学について解説をしています。
「じゃあどうすれば自分を勇気づけることが出来るのか」という点については、
この動画では触れられておりませんが、
アドラー心理学を学ぶ中で、自然とその方法を理解することができるでしょう。
ご興味のある方は是非他の記事もご覧下さい。
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最後までご視聴ありがとうございました。
またアドラー心理学について学ばれたい方にはこちらの書籍がおすすめです。
当記事の内容は、動画でも解説をしておりますので、合わせてご覧いただけますとより効果的に理解を深めることができます。
最後までご愛読ありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう!
- 目的論とは
- 原因論と対になる考え方
- 人間の行動は過去の原因によって決められるのではなく、未来の目的によって決められる
- アドラー心理学の5つの基礎理論の1つ
- 目的論と原因論の現在の状況に対する説明の違い
- 原因論は過去の特定の出来事で因果関係を説明しようとする
- 現在は常に結果であり続ける
- 目的論は未来にある目的によって因果関係を説明しようとする
- 現在は常に手段であり続ける
- 原因論は過去の特定の出来事で因果関係を説明しようとする
- 目的論をどう活用するべきか
- 原因論に寄りすぎている時の軌道修正に
- 悩みやストレスを抱えている人は原因論に偏っている傾向にあるので、目的論の考えを用いることでその偏りを緩和させる
- 悩みやストレスの原因を過去に見いだすのではなく、未来の目的に見いだす
- その悩みやストレスによって解決される事は何?(目的は何?)
- 目的を見つけたのなら、その目的を維持するか、変えるかの二択
参考文献:
岸見 一郎, 古賀 史健 (2013) 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社
アルフレッド アドラー(2012)個人心理学講義―生きることの科学 (アドラー・セレクション), 岸見 一郎訳 アルテ
アルフレッド アドラー(2016) 生きるために大切なこと 桜田 直美訳 方丈社
岸見 一郎(1999) アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために ベストセラーズ
八巻秀(2015) アドラー心理学 人生を変える思考スイッチの切り替え方 ナツメ社
岩井 俊憲(2014)人生が大きく変わる アドラー心理学入門 かんき出版
岸見 一郎,古賀 史健(2016) 幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII ダイヤモンド社