- 「影響力の武器」の要点が分かる!
- 影響力の武器からの防衛方法が分かる!
- なぜ影響力の武器が威力を持つのかが分かる!
この記事では、世界中でロングセラーを続ける社会心理学の名著「影響力の武器」について、そこから私が学んだことのエッセンスを、ギュッと凝縮させてご紹介していきます♪
「影響力の武器」の要約
「影響力の武器」の著者、ロバート・B・チャルディーニ氏は、
実験社会心理学者として、
人間が承諾を行う時の心理を研究し、
その成果をこの本にまとめました。
著者によると、人間は「思考の近道」が大好きで、
なるべく考えなくてもすむような、自動的な思考を好んでする傾向にあると言います。
情報に溢れ、変化のスピードが速い現代社会において、
私たち人間は、
より迅速な判断や決定を求められるようになってきており、
なるべく、素早く適切な思考につながるような、
シンプルで自動的な反応を、ますます好んでするようになってきています。
しかし、こうした自動的な反応を逆手にとって、
私たちを巧みに操作しようとするマーケターやセールスマンが多く存在するのも、
また事実です。
そのため、そうした人間の自動思考の傾向を巧みに利用する人たちに騙されないためにも、
私たちのような一般の人も、そうした自動思考の傾向を知って対策を打つ必要があります。
武器として利用されがちな、自動思考の傾向としては、
大きく分けて6つのカテゴリーがあります。
それは、
- 返報性のルール
- 一貫性とコミットメント
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
の以上6つのカテゴリーです。
それでは次に、これら6つのカテゴリーについて、
その要点を解説していきます。
6つの影響力の武器
①返報性のルール
返報性のルールとは、
私たち人間は、他者から何らかの恩恵を受けた場合、そのお返しをせずにはいられなくなってしまうというものです。
こうした傾向は、
私たち人間が、社会的な生き物として進化してきた過程の中で、根深く備わってしまっている傾向です。
この返報性のルールの恐ろしさは、私たちは恩恵を受ける相手を選べないということです。
例えば、
道端でいきなり他人に親切をされたとして、
その人が全くの見ず知らずの人であったとしても、
もしその親切の後に何かのお願いをされたりすると承諾してしまう可能性が高いのです。
なぜならば、親切を受けたままお返しをせずに終わるのは、
非常に不快に感じてしまうように私たち人間はプログラムされてしまっているからです。
②一貫性とコミットメント
一貫性とコミットメントとは、
人間には自分がすでにしてしまったことに対して一貫した姿勢を保ちたいという欲求がある、ということです。
これもまた、
私たち人間が進化の過程で生き残るためには、
一貫した姿勢を保つことこそが、生存の確率を高めることにつながってきたことに由来しています。
しかし、
この一貫した姿勢を保ちたいという欲求は、
時に思考の単純化をもたらし、十分な吟味なしに、そのほかの思考をそもそも選択肢から外してしまいます。
この傾向の恐ろしさは、たとえ最初の決定が小さなものであったとしても、
その決定に対してその後ずっと一貫した姿勢を保とうとしてしまうというものです。
例えば、この傾向を利用した営業のハウツーとして、
最初はとにかく小さくて些細なお願いをし、そこから徐々に要求を大きくしていき、
最終的には商品を買わせてしまうというものがあります。
③社会的証明
社会的証明とは、私たち人間は、ほかの人たちが何を正しいと考えているかを基準に物事を判断する傾向にあるというものです。
なぜならば、
不確かな状況を目の前にした時、
その場に居合わせている人たちの大多数の意見に従うのが、
もっともその不確かな状況に対して適切に対処する最善の方法だからです。
しかし、この社会的証明の恐ろしさは、
物理的な証拠とは異なり、いくらでも演出し、そして作り変えることができてしまうというものです。
例えば、とあるセミナーに初めて参加してみたとして、
そこにいる人全員がそのセミナー主催者に対して好意的な態度であった場合、
あなたは会場の雰囲気に逆らうことは果たしてできるでしょうか。
逆らうどころか、そのセミナー主催者の言っている事は、とりあえず正しいことなのだと思ってしまう確率が非常に高いのです。
④好意
好意とは、人間は自分が好意を感じている人からの頼みごとは、とりあえず受け入れてしまう傾向にあるというものです。
とある実験では、
商品の購入を決めさせる力は、その商品に対する好感度よりも、
その商品を売っている人に対する好感度の方が二倍も強かったのです。
この「好意の力」の恐ろしいところは、
人間に好意を持たせる方法はいくらでもあるということです。
例えば、
人は自分に似ている人を好みます。
また、お世辞を言われたら喜びますし、会う回数が多くなれば自然と好意を持つようになります。
極端な場合では、相手の見た目が良ければそれだけてもう信じてしまいます。
⑤権威
権威とは、私たち人間は、権威のある人に命令されると、それに従うことが合理的であると判断してしまう傾向にあるということです。
これは、学校教育などの過程で、適切な権威に従うのは正しく、従わないのは間違いだと教育されたことが影響しています。
しかし、この「権威の力」の恐ろしさは、
権威があるという見せかけだけで十分人は信じてしまうということです。
肩書きや、服装、また身につけているものなど、そうした権威のシンボルとなるようなものがあるだけで、
十分に威力を発揮してしまうのです。
⑥希少性
希少性とは、手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてしまうという事です。
人間は、手にいれる事よりも、失うことの方により強烈に反応してしまう傾向にあります。
また手に入りづらいものというのは、簡単に手に入るものよりも良いものであると思ってしまう傾向にもあります。
この希少性の恐ろしさは、
希少性というのはいくらでも演出可能であるということ、
そして、
希少であるものは良いものであると、特に吟味もせずに思い込んでしまう事です。
例えば、よく街で見かける毎日開催している閉店セールはまさに通りすがりの人に、
この機会を逃すとお買い得なチャンスを逃してしまうと思い込ませています。
また、地域限定品であったり、数量限定、また本日限定なども、
ただ「限定」と言葉がつけられているだけで無条件に価値が高いものであると私たちは思ってしまいがちなのです。
影響力の武器からの防衛
以上いかがでしたか?
いかに私たち人間は、自動的に思考をしてしまっており、その自動的な思考の傾向に合わせて、
巧みに操作されてしまいがちであることがお分かりいただけたでしょうか。
最後に、6つの影響力と、それへの対策についてまとめておしまいにします。
①「返報性のルール」を利用されないようにする
人間は、他者から何らかの恩恵を受けた場合、そのお返しをせずにはいられなくなってしまう傾向にあります。
もし、他人が自分に脈略もなくいきなり親切をしてきた場合、相手の魂胆をまず疑い、もし裏がありそうならばそもそも親切を受けないようにしましょう。
②「一貫性とコミットメント」に気をつける
人間には自分がすでにしてしまったことに対して一貫した姿勢を保ちたいという欲求があります。
たとえ、どんな小さな要求であったとしても、それに応えてしまうと、その後断りづらくなってしまいます。
やすやすと、相手の要求に乗らないように注意しましょう。
③「社会的証明」に騙されない
人間は、ほかの人たちが何を正しいと考えているかを基準に物事を判断する傾向にあります。
周りの人たちの意見に盲目的に従うのではなく、一歩踏みとどまって本当にそうなのだろうかと、考え直す習慣を持ちましょう。
④作られた「好意」に気をつける
人間は自分が好意を感じている人からの頼みごとは、とりあえず受け入れてしまう傾向にあります。
時に、この傾向を利用する人がいますので、見せかけの笑顔や、見た目ばかりに惑わされないようにしましょう。
⑤価値のない「権威」を見抜く
人間は、権威のある人に命令されると、それに従うことが合理的であると判断してしまう傾向にあります。
そもそも、その権威には実質的な価値があるのかどうかを一回吟味してみる習慣を持つようにしましょう。
⑥言葉だけの「希少性」には惑わされない
人間は、手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてしまう傾向にあります。
本当に希少というだけの価値のあるものなのかどうかを考えてみる習慣をもつようにしましょう。
まとめ
情報に溢れ、何が正しくて、何が正しくないのかハッキリわからない現代社会ですが、
だからといって安易な思考に流されていると、
それを巧みに利用する人たちの餌食になってしまいます。
今日ご紹介した6つの影響力の存在を知り、自動的に考えてしまうことから抜け出すようにしましょう。
また、これら6つの影響力について、
私たちの日常の中で当てはまる例などがございましたら、
是非動画のコメント欄に書き込んで行ってくださいね♪
なにか一つでもご参考になる点がございましたら幸いです。
また当記事の内容は、簡単なアニメーション動画でも解説をしていますので、
復習も兼ねて是非そちらもご覧していってくださいね♪
ご愛読ありがとうございました。
参考文献:
ロバート・B・チャルディーニ(2014) 影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか , 社会行動研究会訳 誠信書房