今日は、「メンタル・タフネス 4つのエネルギー管理術」から、とても役に立つと私が思ったライフハックの方法論を紹介します。
具体的な実践方法といった詳細な解説は、非常に長くなってしまいそうなので省きますが、
この本で紹介される「フル・エンゲージメント」という状態を目指す考え方は、ライフハックを通じて心身の健康度を高めていくにあたってとても参考になります。
著者であるジム・レーヤーは、スポーツ心理学の権威的存在で、メンタル・タフネスの提唱者です。メンタル・タフネスとはすなわち、心の強靭さという意味ですが、まさに心の強さは一体どうすれば高めていくことができるのか、その一点に対してジム・レーヤーはひたすら探究を深めていきました。
そうした探究の日々の末、今日これから紹介するような体系的な方法論に仕上がり、スポーツの世界を超え、世界中の名だたる企業において人材育成の方法としても採用されました。
今日は、そんなジム・レーヤーが提唱するメンタル・タフネスの方法論について、
分かりやすく解説していきます。是非最後までお楽しみください。
メンタル・タフネスとは
最高のパフォーマンスは最適なエネルギー管理によってもたらされる
ジム・レーヤーが提唱する「メンタル・タフネス」では、パフォーマンス、健康、幸福を支えているのは、巧みなエネルギー管理にこそあるという考え方がそのベースにあります。
最初に結論から紹介していきますと、
メンタル・タフネスでは、最高のパフォーマンスを発揮できる状態のことを「フル・エンゲージメント」と呼び、この「フル・エンゲージメント」の状態を、肉体・情動・頭脳・精神という4つのエネルギー管理によって実現することを目指します。
フル・エンゲージメントとは、エネルギーの状態が高く、気分もポジティブで快適な時の事です。
この時人は、
・活気に満ちている
・自信がある
・困難に立ち向かえる
・うれしい気持ち
・信念に従っている
といったメンタル状態になっています。
そして、ジム・レーヤーの提唱するメンタル・タフネスの方法論がユニークでかつ参考になるのは、
そうした理想的な「フル・エンゲージメント」の状態を達成するための方法として、
肉体、情動、頭脳、精神の4つの領域それぞれの連携に注目している点です。
フル・エンゲージメントを達成するための4つのエネルギー
簡単に、それぞれの領域について紹介しましょう。
肉体エネルギーとは、その名の通り肉体的な健康度のこと。それは、適切な食生活、運動習慣、睡眠習慣などによって達成されるものです。
情動エネルギーとは、感情に起因するものです。楽しんだり、挑戦したり、冒険する気持ちになっているようなポジティブな時もあれば、恐怖や怒りや悲しみを感じるネガティブな時もあります。ネガティブになっても立ち直れる柔軟性がここでは必要になってきます。
頭脳エネルギーとは、注意の対象を適切に切り替え持続的な集中力をもたらすエネルギーです。このエネルギーが低い状態だと物事を必要以上にネガティブに捉えたりして落ち込んでしまう原因になってしまいます。注意をコントロールすると同時に、物事を客観的に捉えられる柔軟性がここでは必要になってきます。
精神エネルギーとは、主にモチベーションの源となるエネルギーです。勇気や忍耐力など人生の方向性を支える最も強力な原動力です。
自分自身についてどの程度理解できているかという自己理解や自己肯定感がここでは重要になってきます。
そして、それら4つのエネルギー領域はそれぞれ次の指標に基づき測られます。
肉体エネルギーは、「量」で測られます。量が高いか低いかが指標となります。
情動エネルギーは、「質」で測られます。快適か、不快かが指標となります。
頭脳エネルギーは、「焦点」で測られます。ぼんやりしているか、はっきりしているかが指標となります。
精神エネルギーは、「強さ」で測られます。高いモチベーションか、低いモチベーションかが指標となります。
つまり、最大量のエネルギー、最高の質のエネルギー、はっきりと焦点の定まったエネルギー、高いモチベーションを伴ったエネルギー、の4拍子そろっている時というのが「フル・エンゲージメント」の状態であり、この時人は最も高いパフォーマンスと健康、そして幸福を達成することになります。
これが、メンタルタフネスの提唱者であるジム・レーヤーの考えです。
つまり、それらの指標に基づいて自分の状態を見てみることで、4つのエネルギーのうちで一体どの領域に問題が生じているのかが分かってきます。
例えば、肉体面、頭脳面、精神面それぞれのエネルギーは十分でも、不安やイライラなどで情動面でエネルギーが低い状態にいると、100%の力は発揮できません。
4つのうちどれか1つだけでもエネルギー状態が悪くなってしまっていると、フル・エンゲージメントの達成は出来ないため、肉体・情動・頭脳・精神の4つの側面から自分自身についての観察眼を持つ必要性があるのです。
さて、こうした考え方は心身の健康を改善し、そして維持していく際に役に立つはずです。
肉体面、情動面、頭脳面、精神面のそれぞれについて自分自身のエネルギー状態はいったいどうなっているかについて観察してみると、問題点が浮き彫りになります。
問題点が浮き彫りになれば、自ずと改善案を思いつけることも多々あるはずです。
この動画では、それら4つの領域ごとの改善策についての解説は省略しますが、
この書籍を通じて特に面白い着眼点だなと私が思ったポイントをこれからいくつか紹介していきます。
フル・エンゲージメントを達成するポイント
①自己改善は精神エネルギーから始める
肉体、情動、頭脳、精神のそれぞれのエネルギーは、肉体を一番最初の土台にして、そこに積みあがっていくように情動、頭脳、精神の順番で成長し発達していきます。
それは、私たちが大人になっていくプロセスと同じです。
ただ、フル・エンゲージメントの状態を目指していくにあたってのアプローチでは、一番上の精神エネルギーの領域から取り組んでいきます。
そのための方法としてジム・レーヤーが提唱しているのが、「目標設定」です。
ただ目標であれば何でもよいというわけではありません。
具体的には、自分が一番大切だと思う価値基準に基づき、私利私欲を超えた使命感を感じるような目標設定です。
心の底から納得できる目標があれば、その方向へと悩むことなく進んでいくことが出来ます。
そうした目標に向かって突き進むときの精神エネルギーは、フル・エンゲージメントを達成するうえで欠かせないものです。目標はあらゆるエネルギーの源となるというのが、メンタル・タフネスの考えです。
目標を設定することも、一つの立派なスキルといえますが目標を設定する際には次の項目を念頭に置くとよいでしょう。
・自分が人生で一番大切にしたい価値は何か
・今までの人生で学んだ最も大切な事は何か
・自分は一体どんな人になりたいのか
②4つのエネルギーは鍛えていくもの
肉体のエネルギーに関しては訓練を通じて強くなっていくと聞いても違和感はないでしょう。
例えば、筋トレなどはまさに鍛えると聞いてイメージするのにピッタリのエクササイズです。
ただ、メンタル・タフネスの考え方においては、肉体以外の、情動・頭脳・精神の領域それぞれのエネルギーについても鍛えて強くしていくことができるとされます。
そして鍛えることを通じて、フル・エンゲージメントの状態それ自体のレベルをも高めていくことを目指しています。
メンタル・タフネスでは、そのように各エネルギーを鍛えていくプロセスの事を「往復運動」と呼びます。
これは、消耗と回復を行ったり来たりすることで、強くなるためには一旦消耗して疲れることと、休憩して回復することが大切であることを示しています。
ただ現代人は、情動面・頭脳面においては過剰に消耗しており回復の機会がなく、一方で肉体面・精神面においては消耗が少なく成長の機会を失っているとジム・レーヤーは言います。
つまり、私たち現代人は、感情的にネガティブになるような事が多く、頭をフルに回転させ続けなくてはならないような日々が続いているという事。一方で慢性的な運動不足であったり、人生や自分自身について内省する時間が足りていないということです。
4つのエネルギーはそれぞれ鍛えて強くしていく必要があるという発想、そして情動面・頭脳面については過剰疲労の状態、肉体面・精神面においては特訓不足の状態であるという着眼点は、確かにそうだなと思うところがありますよね。
まとめ
以上いかがでしたか?
ここまでの内容を一旦まとめましょう。
肉体・情動・頭脳・精神の4つの領域のエネルギーが十分に満たされている時、私たちのパフォーマンス、健康、幸福度は最も高くなり、気分も快適で、体も軽く、やる気に満ちて毎日を快活に過ごすことが出来ます。
その時のことを「フル・エンゲージメント」と呼び、その状態を目指して日々の生活をチューニングしていくという考え方について今日は紹介しました。
肉体エネルギーとは、その名の通り肉体的な健康度のこと。それは、適切な食生活、運動習慣、睡眠習慣などによって達成されるものです。
情動エネルギーとは、感情に起因するものです。楽しんだり、挑戦したり、冒険する気持ちになっているようなポジティブな時もあれば、恐怖や怒りや悲しみを感じるネガティブな時もあります。ネガティブになっても立ち直れる柔軟性がここでは必要になってきます。
頭脳エネルギーとは、注意の対象を適切に切り替え持続的な集中力をもたらすエネルギーです。このエネルギーが低い状態だと物事を必要以上にネガティブに捉えたりして落ち込んでしまう原因になってしまいます。注意をコントロールすると同時に、物事を客観的に捉えられる柔軟性がここでは必要になってきます。
精神エネルギーとは、主にモチベーションの源となるエネルギーです。勇気や忍耐力など人生の方向性を支える最も強力な原動力です。自分自身についてどの程度理解できているかという自己理解や自己肯定感がここでは重要になってきます。
これら4つのエネルギーの観点から、今の自分の心身の状態について振り返ってみると、
一体どのエネルギーの領域において問題が発生しているのかが見えてくるでしょう。
そして、フル・エンゲージメントの状態を目指して自己変革を行っていく際には、精神エネルギーの領域から始めます。
それは、心の底から納得できるような崇高な目標を定めるということ。そんな目標があれば、自ずと進むべき方向は明らかになり、その道を進む勇気や活力もわいてきます。
目標設定も一つの立派なスキルですが、その際には次のことを念頭に置いてみましょう。
・自分が人生で一番大切にしたい価値は何か
・今までの人生で学んだ最も大切な事は何か
・自分は一体どんな人になりたいのか
また、4つのエネルギーそれぞれは決まった分量しか無いということでは決してなく、むしろ筋トレのように鍛えることで拡大していくことができます。
ただ私たち現代人は、情動・頭脳の面においては過労状態で、肉体・精神の面においては訓練不足の状態です。
つまり、感情的な負担が大きすぎ、頭をフルに回転させ過ぎているのに対して、運動不足でかつ自分自身や人生についての内省の時間が足りていないということです。
今日紹介したメンタル・タフネスの考え方は、一つの体系化されたライフハックの方法論として学ぶ価値のあるものではないでしょうか。
今日は以上でおしまいにします。
何か一つでもあなたのお役にたてておりましたら幸いです。