NLP講座第9回目
今月の後半は「NLP x 対人関係の改善パート」ということで、
これまでに、
- ニューロロジカルレベルにあった言葉選び
- ラポールを築く
- ペーシングをする
ということについて解説していきました。
そして、今回はそれらの一連の知識を包括した上で、他者を誘導する際のリーディングという概念について紹介していきます。
リーディングとは
NLPでは、他者に影響を与え誘導していく行為を「リーディング」といいます。
NLPの知識を使って対人関係を改善していくにあたっては、
当然なにかしら相手に対してアプローチをかけていくことになるのですが、
この「リーディング」というのがNLPの具体的な実行段階です。
「NLP x 自己改善」と「NLP x 対人関係改善」との大きな違いは、前述の「ペーシング→ラポール」の段階であり、
ラポールを築いたあとは、NLPの理論に則り、
- 空白埋めシステム
- 焦点化システム
- 快追求、痛拒絶システム
- 安心、安全欲求
- リフレーム
- 質問
- 言葉による擬似体験
といったこれまで紹介してきたノウハウを使って、自分に対して行ったのと同じ流れで相手に対してもアプローチをかけていきます。
この、ラポールを築いて、相手にNLPのノウハウを使ってアプローチしていくのが「リーディング(誘導)」です。
リーディングを行っていく際の3つのポイント
他者に対してリーディングを行っていく際のポイントを3つにまとめましたので紹介します。
①順番を間違えない
他者へのリーディングにおいては順番が重要です。
その順番というのは、
ペーシング→ラポール→リーディング
という順番です。肝心点は「ラポール」です。
ラポールが築けていない状態ではやはりどうしてもNLPは効果を発揮しません。
NLPでは言葉を巧みに使い分けて相手を誘導していくわけですが、その肝心の相手が心を閉ざしこちらの言葉に聞く耳を持っていないのなら、当然NLPの効果を発揮することはできないのです。
そのため、まず相手と自分との間に「ラポール(信頼関係)」が築けているかを意識してみましょう。
相手がこちらに対して否定的であったり敵対的であったとしても、まずはすでにご紹介している「ペーシング(合わせる)」のノウハウやニューロロジカルレベルの知識を念頭に、こちらから相手に寄り添っていきラポールを築くことを先行させましょう。
NLP講座第7回目今日は、「対人関係の改善 x NLP」として、「ラポール」と「ペーシング」という概念について紹介していきます。これまで、NLPは、N x P = Lであり、その基礎理論をベースに自分および相[…]
②質問上手になる
言葉によって擬似体験を起こし、新しいプログラムを構築していく、という流れはすでにお伝えした通りです。
そして、人間には「空白埋めシステム」「焦点化システム」が備わっていますから、うまく誘導すれば自動的に新しいプログラムを再構築しはじめます。
そのキッカケとして影響力がでかいのが「質問」です。
例えば、ネガティブで自信がなく行動する気持ちにもなれない相手がいたとして、
一体どうすればその相手にポジティブになってもらえるのか。
それは、その相手に
「自分の良いところは何だと思う?」
「ポジティブに思うとすればどんなこと?」
「行動するとどんないいことがあると思う?」
という質問を投げかけすれば、あとは自動的に相手の中で言葉が次々に浮かんできます。
ポジティブにさせよう、行動させよう、と力づくでしようとしても決してうまくいきませんが、そのように質問を通じて誘導することで自然と相手に変化を起こせます。
例えるならば、北風と太陽のお話で、コートを脱がせるために、強風を吹き付けるよりも暖かく照らしてあげれば自分から脱ぎ出すのと似ています。
リーディングを行っていく時には、
「どんな質問を投げかければ良い影響を与えられるだろうか?」
と自問するところから初めてみましょう。
③言葉の影響力を知る
「言葉は凶器になる」とは言われますがまさにその通りです。
ニューロロジカルレベルの概念の説明の際にもいいましたが、
行動レベルのミスに対してその人のアイデンティティレベルを刺激して否定すると思わぬ悪影響を与えてしまいます。
また、言葉というのは、全く同じ言葉でも使う人によってその言葉の意味する内容や範囲にズレがあるということも常に念頭においておきましょう。
NLPでは、この言葉によるズレを、
- 省略
- 歪曲
- 一般化
という用語を使って説明しています。
簡単に説明しますと、言葉とはそれ自体が何かを省略しています。
つまり、使う人によって何が省略されているかは異なるということです。
また、言葉が付随情報には歪曲があります。歪曲とは思い込みのことです。
例えば、「よく笑う人」という言葉をとっても、
ある人にとっては「よく笑う人」=「とても感じが良い人」
一方である人にとっては「よく笑う人」=「不真面目で信頼できない」
というように、言葉は思い込みによってその意味が歪曲されています。
そして、言葉はそれ自体が何かをシンプルに言い表した記号ですが、人によって何を一般化しているのかは異なります。
例えば、「男と女」という言葉を見ても、人によってその「男」「女」という言葉がどの程度一般化されているかが異なります。
人によっては、「男」と聞いても、力強い男、優しい男、本好きな男、男性が好きな男、女装が好きな男、などなど、その男の一般化の範囲は異なります。
一方で人によっては「男」ときくと、ステレオタイプ的な男性像を思い浮かべ、それに合わない人は「男らしくない」と切り捨てるかもしれません。
このように、言葉はそれ自体が多くの情報を一般化した記号ですが、その一般化の範囲は人によって異なります。
まとめると、言葉を使う時、そして相手が使う言葉を吟味する時は、
- その言葉は何を省略しているか?
- その言葉は何を歪曲しているか?
- その言葉は何を一般化しているか?
というように自問し、自分の中での言葉だけで解釈しないように、
なるべく中立的に解釈できるように心がけましょう。
まとめ
NLPというのはいわば「知識の道具箱」に過ぎず、肝心なのはそれをどのように使っていくかです。
NLPを使って相手をリーディング(誘導)していく際には、
①ラポールを築くことを忘れない
②どのような質問が効果的な考える
③言葉の意味を考える
以上を意識して実践してみてくださいね。