この記事では、人は経験の質を評価する時に、ピーク時と終わりの時の経験に基づいて判断を下すと言う「ピークエンドの法則」について解説をしていきます。
- ピーク・エンドの法則とは何かが分かる!
- 常に努力するよりも力の入れ時を考えた方が良いことが分かる!
- 恋愛やビジネスなどでの活かし方が分かる!
ピークエンドの法則とは
突然ですが、
このようなことわざを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「終わりよければすべて良し」
今日ご紹介する「ピークエンドの法則」は、
まさにこのことわざに後一言加えた
「ピーク時と終わりよければすべて良し!」
という言葉で言い表すことのできる法則です。
この法則は、心理学者で経済学者のダニエル・カーネマン博士が提唱した法則です。
ダニエルカーネマン博士は、
行動経済学という新しい分野の開拓によって2002年にノーベル経済学賞を受賞している方です。
ピークエンドの法則を調べた実験
ダニエルカーネマン博士は、このことを調べるためにとある実験を行いました。
その実験とは、
被験者を第1グループと、第2グループに分け、
第1グループには始まりから終わりまでずっと不快な音を聞かせ続けました。
一方で、
第2グループには、第1グループと同じ時間だけ同じ不快な音を聞かせ続けた後に、
それよりは少しマシな音をさらにしばらく聞かせました。
ただし、少しはマシとはいえ、不快な音であることには変わりありません。
その結果、
この一連の経験を不快と評価した人の割合は、
なんと不快な音をより長時間聞かされ続けたはずの第2グループの方が、
第1グループの方よりも少なかったのです。
つまり、たとえ不快な音をより長時間聞かされたとしても、
実験の終わりの時がその前と比較して不快ではなかったことによって、
その一連の経験が、より短い時間不快な音を聞かされたたグループよりも、不快ではないと判断されたのです。
人はピーク時と終わり時のみを評価に利用する
こうした実験を数多く実施したのちに、
ダニエルカーネマン博士は、
一連の経験の質を判断する時、人はすべての経験を考慮にはいれておらず、
そのピーク時と終了時の経験だけで判断する
と結論づけ、
このことを「ピークエンドの法則」と名付けました。
ピークエンドの法則が当てはまる具体例
みなさんも、このことについては、思い当たる節があるのではないでしょうか。
例えば、今まで卒業してきた学校での思い出が良かったか悪かったかを判断する時には、
一番楽しかった・もしくは一番辛かったというピーク時の出来事、そして一番最後の卒業式間近での思い出に基づいて評価をするのではないでしょうか。
また、過去付き合った恋人が良かったか悪かったかを評価する際も、
一番楽しかった・もしくは一番辛かったというピーク時の思い出と、
最後の別れの時の思い出に基づいて評価をするのではないでしょうか。
このように、
思い出としてのピーク時と、終わりの時の経験が、
思い出全体としての印象を大きく操作しているのです。
ピークエンドの法則が活用できる場面とは
このピークエンドの法則によると、
物事の経験はそのピーク時と終了時の経験によって決まるとされ、
それ以外の経験は失われてはいないが、評価においては利用されないとしています。
私たちの日常生活や仕事の現場などでも、人に対して何か働きかける必要性のあることに取り組んでいる時には、
このピークエンドの法則を活かせる場面が多くあります。
例えば、気になる相手とのデートの時、
そのデート全体の思い出を良かったものにするためには、
デートをしている間ずっと相手を満足させるように頑張るよりも、
とても楽しい思い出になるようなピーク時を作ることと、最後の別れ時の雰囲気に力をいれることで、
デート全体の印象を良くできます。
他にも、授業中、先生からの評価を上げるためには、
誰も発言をしたがらないようなタイミングで一人手を上げ積極的になりピーク時を作り、
そして授業の終わりでしっかりと礼儀正しく挨拶をすると良いでしょう。
また、たとえ授業中に居眠りをしてしまい、ネガティブなピーク時を作ってしまったとしても、
授業の終わりで元気よく礼儀正しく挨拶をしていれば、先生からの評価はむしろ上がるかもしれません。
他にも、このピークエンドの法則を活用できる場面は多くあります。
それは、ビジネスの現場での、営業トークや、商品の売り込み、また、会議でのプレゼンテーションなど。
経験に対する評価を上げるという観点から言うならば、
常に全力のエネルギーをつぎ込むよりも、
あえて、ピーク時を演出し、最後の締めくくりに力を入れると良いのです。
ピークエンドの法則を実践しよう!
以上いかがでしたか。
今日の動画では、「ピークエンドの法則」について解説をしてきました。
思い出が良かったか悪かったかというのは、一見、
経験全体の出来事一つ一つの足し算・引き算によって決まるかと思いがちですが、
実は、そうした出来事一つ一つはそもそも考慮されておりません。
経験としてのピーク時がどのようであったか、そして終わりはどのようであったかによって
その経験全体の評価はすべて決まってしまうのです。
そのため、まず第一に言えることは、終わりこそ力を抜いてはいけないということ。
そして、ずっと頑張って相手を常に満足させるように努力するよりも、
相手の満足度が極限に高まるピーク時を作ることに力を注ぐほうが、
総合的な満足度を高めることができるのです。
ただし注意点としては、そのピーク時点の印象が強すぎて、
終わり際を物足りなく感じさせてしまうと、
逆に評価が下がる可能性もあるということです。
他にも、この「ピークエンドの法則」をうまく活用できそうな場面がありましたら、
日常生活やビジネスの現場問わず、どじどしとコメントに書き込んでいってくださいね♪
また、「知って役立つ◯◯の法則シリーズ」として、他にも
役立って小ネタになるような法則を紹介しておりますので、
是非そちらもご覧していってくださいね♪
何か一つでもご参考になる点がございましたら幸いです。
また、ピーク・エンドの法則を唱えたダニエル・カーネマン博士が執筆した書籍は、
非常に面白く参考になるものが多いので、おすすめの本も合わせて紹介しておきます。
当記事の内容は動画にしても解説をしていますので、
復習も兼ねて是非そちらもご覧していってくださいね♪
ご愛読ありがとうございました。
参考書籍:
ダニエル・カーネマン(2012)ファスト&スロー (上下): あなたの意思はどのように決まるか? (友野典男・村井 章子訳)
ダン アリエリー(2013)予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」,熊谷 淳子訳 早川書房
烏賀陽 正弘(2012)必ず役立つ!「○○の法則」事典 PHP研究所