- 大人のADHDについてその特徴と対策が分かる!
- ADHDの場合の適切な対処が分かる!
- ADHDの生きづらさをどう克服すれば良いかその考え方が分かる!
この記事では、発達障害であるADHDについて、それも「大人のADHD」という切り口から、その特徴、診断チェック、仕事であったり対処策について解説をしていきます。
大人のADHDとどう向き合うか
みなさんこんにちは!ライフハックアニメーションです!
今日の記事では、発達障害の一つであるADHD(Attention-deficit hyperactivity disorder)について、
「大人のADHD」という切り口から解説をしていきます。
実は、成人のADHDは2-5%いるとされており、何も類稀というわけではありません。
また、大人になってから自分がADHDであったと気づく事も多く、
もっと早くから知っていれば良かったと思うことも珍しくありません。
ADHDであることが、社会生活を難しくし、うつ病や不安障害といった、
二次的な症状に悩まされてしまうと言うことが非常に多くあります。
そこで今日の記事では、ADHDとはそもそも何か、その原因は一体何か、
そして自分がADHDかもしれない時、または身近な人がADHDかもしれない時、
どのように対処していくと良いのかというお話をしていきます。
是非最後までお付き合い下さい。
ADHDとは。特徴について
ADHDとは、日本語では注意欠如・多動性障害と言い、
多動性、衝動性、注意欠如の3つを特徴とする発達障害であり、生活に様々な困難をきたす状態を言います。
先ほども述べた通り、人口の20人から25人に一人は該当しているとされ、なにも珍しい状態ではないのです。
多動性とは
多動性とは、落ち着きがない、よくしゃべる、常に体の一部を動かしているといった状態で、
ずっと髪をいじる、貧乏ゆすりをする、席にじっと座っているのが苦手という場合が当てはまります。
衝動性とは
衝動性とは、思いつきをすぐ行動に移し我慢が苦手といった状態で、
失礼な言動を思わずとってしまいがちであったり、欲求を優先しがち、いきなり大胆な行動をとってしまいがちという場合が当てはまります。
注意欠如とは
注意欠如とは、集中力が続かず、注意がそれやすく忘れっぽいといった状態で、
会話の途中でいきなり別のことを考えてしまったり、不注意なミスの多発、忘れ物や遅刻が多いといった場合が当てはまります。
この3つの状態が程度の差こそあれ三つあり、
そのことが日常生活や社会生活において支障をきたすレベルである時ADHDであるとされます。
ADHDは脳の特性上の問題
このADHDは、主に脳の前頭前野という部位に関わる生まれ持った脳の特性であり、
大人になってから急にADHDになるというようなものではありません。
つまり、ADHDは幼少期よりその特徴が出てくるものなのですが、
幼稚園、小学校、中学校とまだ社会人として独立する前の段階では、
ADHDであることがそれほど問題とはならないことも多々あります。
なんとか自分なりに対処して生きていけることが多いですし、むしろその人の性格や個性の問題として許容され、自分がADHDであるということに気づかないまま大人になるケースが多くあるわけです。
しかし、
社会人となり、仕事の内容であったり立場などがどんどん複雑になっていくにつれて、
ADHDの主な特徴である「多動性」「衝動性」「注意欠如」といった状態が、
現実問題的なレベルで支障となって現れ出し、そのことが社会の中での生きづらさや困難となって表面化してきます。
そうしたことが重なり、
ADHDは、うつ病や、不安症、心的外傷後ストレス障害、依存症といった二次障害を抱えやすくなってしまっているのです。
自分がADHDであるという事、もしくはADHDのグレーゾーンであるという事を認識しておくことは重要です。
なぜならば、そうした認識をもつことで、
つらい二次障害を抱えにくくなるだけでなく、適切な対処というものができるようになっていくからです。
それでは次に、
そもそも一体なぜADHDという状態になるのか、その原因について見ていきましょう。
ADHDの原因について
実はなぜ人がADHDになるのか、そのはっきりとした原因は未だに分かってはいません。
部分的に分かっている事としては、
前頭前野という、情報の認知や判断など、自己コントロール能力を司る部位における、神経伝達物質の働きが弱いのではないかと考えられています。
ただはっきりとしていることは、
ADHDは脳の特性上の問題であり、性格であったり気持ちの問題などでは決してないと言うことです。
また、それは生まれ持った脳の特性上の問題であるため努力によって根本的に変えるという事もできません。
そのため、
ADHDの人やその身の回りの人たちは、それが努力や気持ちの問題ではなく、性質上の仕方のない問題であるという認識が本当に必要なのです。
なぜならば、変えようのない事なのに、それを努力不足や気持ちの問題としてしまうと、
ADHDの人はメンタル的に追い込まれる一方で、そのことが原因でうつや不安症といった二次障害を患ってしまいがちなのです。
ADHDは、厳密には不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、そして混合型の3つのタイプがあります。
それでは次に、ADHDの人目線に立った上での、ADHDの、もしくはADHD気質のある自分への上手な対応策についてご紹介していきます。
大人のADHDの診断
成人のADHDの診断としては、E.M.ハロウェルらによる簡易的な診断基準が用意されています。
ハロウェルとレイティの成人のADHD診断基準
A.以下のような障害が慢性的に15項目以上にわたって認められる。
1.(実際に一定の成果がでていても)実力を発揮できていない、目標を達成できていないという感覚がある。
2.計画的な行動(秩序だった一連の行動)や物事の準備が難しい。
3.物事をいつも先延ばしにして、仕事に取り掛かるのが遅い。
4.多くの計画を同時進行するが、大部分を最後までやり遂げることができない。
5.頭に浮かんできたことを、タイミングや状況を考えずにパッと口に出してしまう。
6.頻繁に強い刺激を求める。
7.退屈な状態に我慢できない。
8.すぐに気が散ってしまい、注意の集中が難しい。読書や会話の最中に他のことを考えて上の空になってしまう。(時に異常なほどの集中力を見せることもある)
9.しばしば、創造性や直感、高い知性を示す。
10.決められた方法や適切な手順を守ることが難しい。
11.気が短くて、ストレスやフラストレーション(欲求不満)に耐えられない。
12.衝動性。言葉と行動の両面での衝動性。金銭の使い方や計画の変更、新しい企画や職業の選択における衝動性。
13.際限なく不必要な心配をする。(心配の原因をあれこれ探しながらも、実際の危機に対しては逆に心配しなかったりもする)
14.心もとない不安定感。
15.気分が揺れやすくて変わりやすい。特に親しい人と別れた時や仕事から離れた時に気分が不安定になる。(ただし躁うつ病やうつ病ほどにはっきりとした病的な気分変動ではない)
16.心がそわそわとして落ち着かない感じ。(精神的なエネルギーの高揚・持て余しの現れで、うろうろ歩き回る、指で物をトントン叩く、座っている時に体の位置を変える、仕事場やデスクをよく離れる、じっとしているとイライラするなど)
17.嗜癖・依存症の傾向。(アルコールや薬物など物質嗜癖、摂食や仕事、買い物、ギャンブルなど行為嗜癖、異性関係の恋愛やセックスなど関係嗜癖)
18.慢性的な自尊心の低さ。
19.不正確な自己認識
20.ADHD、双極性障害(躁うつ病)、うつ病(気分障害)、物質乱用、その他の衝動制御障害の家族歴。
B.子供の時にADHDであった。(正式な診断以外にも、過去を振り返った時にADHDのような徴候や症状が思い当たる場合も含む)
C.他の医学的あるいは精神医学的状態では説明がつかない。
『成人期のADHD診断基準』
ADHDの自分への対応策
既に述べた通り、ADHDというのは脳の特性の問題であり、これをしたら治るというようなものではありません。
しかし何も打つ術がないというとそういうわけでもありません。
むしろ、
そうしたADHDという自分の脳の特性を活用する、もしくは対処するということは十分に可能です。
それでは、「ADHDである自分への対応策」という観点から、
おすすめの考え方をいくつかご紹介します。
①自分の性質を認める
まず一つ目に、多動性、衝動性、注意欠如という特徴が自分にはあるのだと言うことを認識することが大事です。
そうした性質を認識するだけで、
「どうして自分はダメなのだろうか。」
というように、ネガティブに自分を責め続けてしまいメンタル的に落ち込んでしまうことを避けられます。
自分の努力不足のせいにしたり、気持ちの問題のせいにしてしまっていると、
ストレスは強まるばかりで、自己肯定感はどんどん低下していき、
しまいには、うつ病、不安症、依存症といった二次障害を患ってしまいます。
実際、うつ病の診断で精神科に行ったことがキッカケで、自分がADHDであったことを知るという大人は多くいます。
自分がダメなのではなく、自分の脳が生まれつきそのような性質を持っているのだと客観的に知ることは、
ADHDの人が社会の中での「生きづらさ」というものを克服していく上での最初の一歩となります。
②自分の性質にうまく対処する
また、そうした性質を客観的に認識しておくことで、
適切な対処というものができるようになります。
多動性にしても、衝動性にしても、注意欠如にしても、
そうした性質のマイナス面が出てくる前には必ず「ターニングポイント」というものがあります。
つまり、なにもそうした性質が必ず悪い結果として表面化するわけではなく、
あくまでも傾向として、マイナス面が出てしまいがちというだけなのです。
例えば、ADHDの人がよくしてしまいがちな、
忘れ物、遅刻、散らかった部屋、不注意といった問題にしても、
それに先立つターニングポイントとも呼べる瞬間が必ずあります。
それは、家に帰って荷物をぽいっと床に投げてしまう瞬間かもしれませんし、
約束をした時すぐスケジュール帳にメモしなかった瞬間かもしれません。
また、視界に人の動きが入った瞬間や、関係のない音や匂いを感じた瞬間かもしれません。
いずれにしても、
多動性・衝動性・注意欠如という特徴が悪い結果として表面化するにあたっては、
悪い結果になるかならないかの分かれ道が必ずあります。
その分かれ道、すなわちターニングポイントを見逃さずにそこを改善するよう意図的に工夫をしてみましょう。
このチャンネルでは、ライフハックのアイデアとして、
集中力ややる気の問題、睡眠や食事の生活管理まで、様々な改善策を紹介していますので、
是非採用できそうなアイデアを見つけてみてください。
③強みを活かす
ADHDというのは、馬力は高いものの、ブレーキ機能が弱く、ミラーの小さい車によく例えられます。
スピードはすぐ出やすいのですが、微妙な調整が難しく、
また細かい注意ができていないのでちょっとした角によくぶつかります。
しかし、その分、一気に突き進む時は他の車をぶっちぎって突き進めます。
そんなADHDの人は、ひらめき力にすぐれアイデア豊富、そして興味のある分野に関しては非常に高い生産性で取り組めます。
ADHDの人に適職な仕事というのを一概に決めつけることはできませんが、
大まかな考え方としては、自分の興味のある内容であり、関係のない雑務があまり入ってこないような専門性の高い職業が向いていると言えます。
プログラマーやデザイナー、カメラマンや料理研究家、
また興味のある分野を突き進む馬力に優れているので、起業家などにも向いています。
そのように、適材適所な位置にさえいれば、むしろ高い能力を発揮できるので、
無理に自分を環境に当てはめていこうとするのではなく、
自分にあった環境を探していくことが重要です。
大人のADHDまとめ
以上いかがでしたか?
今日の記事では、ADHDとは何か、その原因、そして自分がADHD、もしくはそのグレーゾーンである時、
一体どうすれば良いのか、その考え方についてご紹介をしてきました。
なぜADHDについてこのチャンネルで取り上げたのかと言うと、
ADHDであることが原因で、そのことにうまく対処できず、
心身ともに病んでしまう人がとても多くいるからです。
生まれながらの脳の特性を、努力や気持ちの問題にして無理をしてしまうと、
どうしてもストレスが大きくなり、挙げ句の果てにはうつ病などになってしまいます。
ADHDというのは、ここからがADHDといったはっきりとした境目のある状態ではありません。
そこにはもちろん、軽度のADHDとも言えるグレーゾーンが確かにありますし、
いずれにしても、そうした脳の特徴があるという知識を持っておくことはとても重要です。
このチャンネルではADHDの人向けといった切り口の動画ではなかったとしても、
「社会での生きづらさ」というものにうまく対処していくためのアイデアやハウツーを100動画以上これまでに公開してきています。
過去の動画から是非興味のある動画を見つけて頂けますととても嬉しいです。
この記事の内容が何か一つでもあなたのお役に立てておりましたら幸いです。
最後までご視聴ありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
P.S.
当記事の内容はYoutube動画でも解説をしておりますので合わせてご視聴頂けますとより効果的に理解を深めることができます。
- ADHD(Attention-deficit hyperactivity disorder)とは
- 注意欠如・多動性障害
- 多動性、衝動性、注意欠如の3つを特徴とする発達障害であり、生活に様々な困難をきたす状態
- 多動性とは
- 多動性とは、落ち着きがない、よくしゃべる、常に体の一部を動かしているといった状態
- 衝動性とは
- 衝動性とは、思いつきをすぐ行動に移し我慢が苦手といった状態で、失礼な言動を思わずとってしまいがち
- 注意欠如とは
- 注意欠如とは、集中力が続かず、注意がそれやすく忘れっぽいといった状態
- ADHDの原因
- まだはっきりとした原因はわかっていない
- 脳の特性上の問題であることはわかっている
- 努力や気持ちの問題ではない
- ADHDの二次障害
- ADHDであることへの生きづらさから二次的な障害を患ってしまい安い
- うつ病や、不安症、心的外傷後ストレス障害、依存症など
- ADHDである自分への対処
- ①自分の性質を認める
- 脳の特性上の問題であり努力や気持ちの問題にしないようにす
- ②自分の性質にうまく対処する
- ネガティブな結果が出る以前のターニングポイントを改善するよう工夫をす
- ③強みを活かす
- 興味があって余計な雑務が入りづらい専門性の高い仕事や環境に身を置くようにする
- ①自分の性質を認める
参考文献:
福西 勇夫(2015)マンガでわかる大人のADHDコントロールガイド 法研
榊原 洋一 (2013) 図解 よくわかる大人のADHD ナツメ社
岩波 明(2015) 大人のADHD: もっとも身近な発達障害 筑摩書房