ドーパミンの作用

ドーパミンの作用とは?中毒・依存との関係性について

  1. ドーパミンの作用について学べる!
  2. 中毒や依存とドーパミンの働きとの関係が分かる!
  3. どうすればドーパミンからの悪影響から抜けれるのかが分かる!

この記事では、ドーパミンの負の側面に焦点を定め、その姿がまるで「悪魔」のようであるとの切り口からドーパミンの作用と、中毒や依存との関係性について解説していきます。

ドーパミンと中毒・依存

みなさんこんにちは!ライフハックアニメーションです。

今日の記事では、中毒や依存がなぜ起きてしまうのか、
ということを脳科学的な観点から解説していきます。

実は、この「中毒」という状態、決して他人事ではなく、
ほとんどの人が慢性的な中毒状態にあると言えます。

その最たる例が、SNSでの「いいね!」の通知でしょう。

他にも、

  • ネットサーフィンが辞められない
  • 冷蔵庫を何度も開けてしまう
  • エナジードリンクをついつい飲んでしまう

など。多くの人がある意味で軽度の「中毒」状態にあると言えます。

それは、まるでお酒を常に少量ずつチビチビと飲み続け、
シラフの状態がどんな感じだったかを忘れてしまっているのに似ています。

そこで今日の記事では、

一体その時、脳の中では何が起こっているのか、
そしてその事による悪影響は何か、
スッキリとしたシラフ状態に戻るにはどうすれば良いのか

というお話をしていきます。

是非最後までお楽しみください。

ドーパミンの作用を調べたとある実験

社会心理学者オールズとミルナーは、ネズミの脳のとある部位に電極をさしこみ、
レバーを押せばネズミが自分にビリっと電気を流すことができるようにしました。

このネズミ、5秒おきに自分でレバーを押してしまうため、体は電気で真っ黒に火傷し、
動けなくなるまでレバーを押し続けてしまいました。

また、テュレーン大学の精神科医ロバート・ヒースは、人間の脳のとある部位に電極をさしこみ、
スイッチを押せば自分で自分にビリっと電気を流すことができるようにしました。

すると、被験者となった人は、何度も何度もスイッチを押し、実験が終了して電源が切られた後も200回以上ずっとスイッチを押し続け、しまいには電源を再びつけるようにと試験官に訴えかけてきました。

また、実験ではありませんが、次のような残念な事件もありました。

2005年、28歳のボイラー修理工は、スタークラフトというゲームを飲まず食わず寝ずの状態で50時間連続してプレイした結果、死亡してしまいました。

さて、一体何が、ネズミ、被験者、ボイラー修理工の脳の中では起こっていたというのでしょうか。

神経伝達物質ドーパミンの報酬系としての働き

ドーパミンの作用と実験

実は、電極を差し込まれたのは、「報酬系」と呼ばれるドーパミンという神経伝達物質が分泌される脳の回路の部位です。
そして、電極を差し込まれたわけでありませんが、ボイラー修理工の脳内ではゲームによってドーパミンが分泌され続けていました。

この部位は、脳の中でも最も原始的なモチベーションシステムを司っており、
人間の長い進化の過程の中で発達してきました。

つまり、

効率よく生き延び、子孫を残し、種として繁栄し続けるために、
この異常とも言える「追求力」をもたらすドーパミンの神経回路を発達させてきたのです。

しかし、このドーパミンの神経回路、

現代においてはまるで「悪魔」のように私たちに働きかけてきます。

ドーパミンによる中毒

実はこのドーパミン、私たちを幸せにしてくれるわけではありません。

その代わりに一体何をしてくるのかというと、

私たちに「幸福への期待」

をさせます。

さらにいうならば、期待させるだけさせておいて、お目当のものは絶対にくれません。

ドーパミンの分泌メカニズム

ドーパミン分泌のメカニズム

まず、

脳は、報酬が手に入りそうだと認識すると、ドーパミンという神経伝達物質を分泌します。
分泌されたドーパミンは全身に指令を出し、注意力を最大限に集中させ、そのお目当てのものを是が非でも手に入れさせようとします。

人はこの時、神経が異常に研ぎ澄まされ、敏感になり、欲望という名の「幸福への期待感」で脳内は埋め尽くされます。そして快感が得られそうなその事のためであるならば、何であってもしようという気持ちになります。

しかし、

仮にドーパミンが放出されたとしても、満足感や喜びというものは決してもたらされないということを、
神経学者たちは既に明らかにしています。

実際、

異性であろうと、メロンソーダであろうと、タバコであろうと、
まさにそのお目当ての報酬を受け取る時には、あれほど騒ぎ立てていたドーパミン回路は何事もなかったかのように活動を止めています。

それはまるで、

ご褒美を手にもって騒ぐ悪魔が、いざ苦労をして目の前にいってみると、
知らんぷりをして立っており、実は嘘をついてご褒美を持っている振りをしていたかのようです。

それでは全くもって、時間と労力の無駄以外のなにものでもありません。

幸福感をもたらすわけではないドーパミン

 

実は、このドーパミンの分泌というのは、

あくまでも行動を起こさせるためのものであり、幸福感をもたらすものでは決してないということが、
明らかになっています。

ドーパミンが分泌される時、気持ちが高ぶるのでその状態を「幸せ」と思ってしまう場合がありますが、
それは単なる錯覚でただ興奮しているだけにすぎません。

また、そのように気持ちが高ぶる時というのは、同時に不安やストレスも感じます。

例えば、

  • 早く欲しい、、、
  • 手に入らなかったらどうしよう、、、
  • 本当はやめたほうがいいとわかっているのに、やめられない!

みなさんもそのような状態を何度も体験された事があるかと思いますが、
その時ドーパミンと一緒にストレスホルモンも分泌されています。

幸福への期待感に駆り立てられてジリジリ、イライラ、ドキドキ、している状態から、
素の冷静な状態に戻るためには、

相当な意志力が消耗されます。

つまり、悪魔のささやきに従おうが、逆らおうが、
どちらにせよ脳は疲れてしまいます。

進化の過程の中で生存確率を高めるために発達してきたわけではありますが、
情報過剰・消費過剰の現代社会においては、その機能は時代的なミスマッチが起きているとも言えます。

ドーパミンの作用による中毒・依存から抜け出すには

 

さらに状況を悪くしているのは、

この「悪魔」というのは、ちょっと気を許してしまうと、すぐいい気になって、
こんなご褒美もあるよ!あんなご褒美もあるよ!と色々な嘘をつき始めます。

その結果どうなるのかというと、

私たちは、

スマホの通知を確認し続け、冷蔵庫を何度も開けては閉めるを繰り返し、何度も何度もスクラッチを削ります。

しかし、それは「悪魔の嘘のささやき」に過ぎないので、
当然、約束されていたはずの「幸福感」は手に入りません。

つまり、些細な欲望に負けてしまうと、それにつられてそのほかの欲望にも、
どんどん負け始めてしまうということです。

このように、

ドーパミン悪魔のささやきに翻弄され続けるというのは、

時間と労力の無駄であるのはもちろんのこと、
脳はどんどん疲れ、

本当に大事な事に取り組む時には既に息切れの状態になってしまいます。

仕組みを理解する

 

じゃあ、一体どうすれば良いのかというと、

悪魔を出し抜きます。

ただし、

難易度は高めです。これをやったら出し抜けるという簡単な方法は残念ながらありません。

しかし、出し抜けないわけではありません。
生まれた時からあらかじめ脳に仕込まれたプログラムを克服することは可能です。

まず、ファーストステップとして、

「悪魔のささやき」に気づきしょう。

この記事を見た後から、

止めたくても止められない事に出くわすたびに、それをしたところで幸福感は得られないという事実を自分に言い聞かせましょう。

通知を確認する時、冷蔵庫を開ける時、勉強じゃなくてゲームを始める時、

自分はそうと分かって自らの意志で悪魔のささやきに乗っかっていると思いましょう。

そうとは気づかず、惰性の中で幸福感への期待に従うのとは天と地ほどの差があります。

そして、何回かに一回は、悪魔のささやきに抵抗できるようにしましょう。
そして、何回かに一回を、3回に1回に変え、2回に1回に変え、毎回に変え、

最終的には、もう悪魔が諦めて囁いてこないまでに自分を鍛えましょう。

長期的に考えるようにする

 

ここで、ワンポイントアドバイスとして、

ドーパミン悪魔の囁きへの抵抗力を高めるとっておきの方法を教えます。

それは、

「長期的に考えるようにする」

ということです。

ドーパミン悪魔の口癖は、

「今すぐ!早く!もっと!」

です。

ドーパミン悪魔の性格は短気で、せいぜい3分先のことまでしか考えられません。

そのため、1日単位、1ヶ月単位、1年単位というように視野を広げて物事を考えるようにすればするほど、
その悪魔のささやきは耳に入ってこないようになります。

好ましい目標への追求力に変える

 

また、

ドーパミン悪魔をてなづける、という方法も自己コントロール能力を高めます。

つまり、ドーパミンによってもたらされる「追求力」を、

得られるはずのない偽物の幸福感に向けるのではなく、
確かな実態のある本物の幸福感に向けるのです。

そうしたドーパミン悪魔をてなづける具体的な方法については、

こちらの2つの記事で詳しく解説をしています。

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この記事との切り口は異なりますが、やろうとしている事は同じです。

ちなみに、そのドーパミンによるモチベーションアップの記事にて、

「ドーパミンが分泌された時に幸せを感じる」と発言してしまっておりますので修正させてください。

ただ、自分にとって好ましい目標に突き進む時の高揚感こそを、
幸福と呼ぶこともできるかと思いますので、

その点は柔軟にご視聴頂けますと助かります。

ドーパミンの作用まとめ

ドーパミンの作用まとめ

以上いかがでしたか?

この記事では、

ドーパミンの、幸福感への期待だけをもたらす、という性質を、

「悪魔のようだ」と捉え、解説をしてきました。

普段の生活の中で、変えたくても変えられない習慣がある時、

それはドーパミン悪魔の仕業かもしれません。

それを克服する最善の方法は、

その悪魔のささやきに気づき、耳を傾けないようにする事です。

難易度は高いかと思いますが、取り組む価値はあります。

実態のない偽物の幸福感ではなく、
実態のある本物の幸福感を追求できるように視野を広げていきましょう。

この記事の内容が何か1つでもお役に立てておりましたら幸いです。

また、当記事の内容は動画でも解説をしておりますので、
合わせてご視聴頂けますとより一層理解を深めることができます。

最後までご愛読ありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。

  • ドーパミンの役割
    • 幸福感への期待を与えてくれる
    • 実際に幸福をもたらせてくれるわけではない
  • ドーパミン分泌による弊害
    • 幸福感への期待が高まると同時に不安やストレスも感じる
    • 欲求を断ち切るために意志力を無断に消耗してしまう
  • 悪影響から抜け出すために
    • ①ドーパミンによる作用を理解する
      • やめたくてもやめられない時、それはドーパミン悪魔のささやきのせい
      • 欲求の誘いに乗らないように徐々に自分を鍛えていく
    • ②物事を長期的に考える
      • 数時間単位、1日単位、月単位、年単位で物事を捉えると、目先の利益には惑わされなくなる
    • ③好ましい目標への追求力に変える
      • 生産性を下げる目先の利益ではなく、好ましい目標に近づくことに対してドーパミンが分泌するようにしていく

参考文献:
ケリー・マクゴニガル(2015)『スタンフォードの自分を変える教室』神崎 朗子訳 大和書房

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