- 脂質の分類について詳しくなれる!
- 健康に良い脂質と悪い脂質との区別ができるようになる!
- どのような点を意識して食生活を送れば良いのかが分かる!
健康オタクシリーズ!
このシリーズでは、栄養素や食品の知識に詳しくなって普段の食生活から健康になっていくことを目指すシリーズです。
今日のテーマは「良い脂肪・悪い脂肪」について!是非最後までお楽しみください!
脂質とは
脂質分類表のダウンロードはこちら!↑
脂肪と聞くと、なるべく取らない方が良いものと思われている方も多いでしょう。
脂質の取りすぎは良くない、その理由は、
脂質の摂取が多い食生活を送っていると、動脈に脂肪が蓄積してしまい、
やがて詰まって心臓発作の原因となったり、肥満の原因となってしまうと。
確かにその認識は正しいものであるとは言えますが、
偏った認識であるとも言えます。
なぜならば、本来脂肪とは私たちにとっては必要不可欠なものだからです。
まず、私たちの体の細胞・臓器・脳はどれも脂肪でできており、それらが正常な働きをするためには良質な脂肪が必要です。
細胞膜の原料も体の機能を整えるホルモンの材料も脂肪ですし、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンが体に吸収されるのを促進するのも脂肪です。
また脂質は1gあたり9kcalであり、1gあたり4kcalの糖質やタンパク質と比較すると2倍以上のエネルギー効率があります。
極端な話、脂肪が少なすぎると、髪の毛はパサパサ、肌はガサガサ、血管はボロボロ、免疫機能もガタガタになっていきます。
そのような観点から、
最近では逆に脂質をもっと積極的にとろう!という健康ハウツーをよく耳にすることも増えているのではないでしょうか。
といっても、脂肪が体の健康にとって悪影響を及ぼす可能性があるというのもまた事実です。
それでは一体何が正しい知識と言えるのでしょうか。
そうした脂質に関する疑問は、そもそも脂質というように一括りにされている脂質の種類について詳しくなれば全て解決します。
脂質の種類に詳しくなろう!
実は、脂質といっても色々な種類があります。
まずはじめに、詳しい説明は後回しにして、全体像の解説を行います。
まず脂質は大きく分けて2つに分類ができます。
それは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸はさらにその分子の長さで短鎖・中鎖・長鎖に分類がされます。
一方で、不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と、多価不飽和脂肪酸とに分類され、
多価不飽和脂肪酸はさらにオメガ6系とオメガ3系とに分類がされます。
そして、こうした分類からは少し外れる形で、不飽和脂肪酸だけども、人工的に無理やり固形化させたものとしてトランス脂肪酸があります。
難しい話は抜きに、それらの違いについて簡単に説明をしますと、
飽和脂肪酸は溶ける温度が高く室温でも個体なのに対し、不飽和脂肪酸は低い温度でも溶けるため室温では液体です。
飽和脂肪酸の代表例としては、
短鎖脂肪酸はバター、中鎖脂肪酸はココナッツオイル、長鎖脂肪酸はラードや牛脂です。
一方で、不飽和脂肪酸の代表例としては、
一価不飽和脂肪酸はオメガ9とも呼ばれ、代表的な脂肪酸はオレイン酸で食品ではオリーブオイル・アボガドオイルなどが含まれます。
多価不飽和脂肪酸はオメガ6とオメガ3に分類されるわけですが、オメガ6の代表的な脂肪酸はリノール酸で一般的にサラダ油に分類される油はここです。
オメガ3の代表的な脂肪酸は、α-リノレン酸とDHAとEPAですが、α-リノレン酸は主に亜麻仁油など、DHA・EPAは主に青魚に含まれています。
そして、一人だけ浮いているトランス脂肪酸の代表例としては、マーガリン、ショートニングなどです。
さらにもう一段階詳しい解説を加えますと、長鎖・中鎖・短鎖の違いでいうと短い方が抗炎症性があります。
また一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の違いは、酸素による酸化ダメージが加わる箇所が一箇所か複数箇所あるかの違いです。
一番酸化しにくく安定しているのは飽和脂肪酸で、次に酸化しずらく安定しているのは一価不飽和脂肪酸、そして最後が多価不飽和脂肪酸です。
ただし、オメガ3系は、多価不飽和脂肪酸ですが、抗炎症作用があります。
さて、
こんなに複雑に分類できるのに、脂質と一括りにされてしまっているので、
頭がごっちゃになってしまうのも納得がいきますよね。
健康のためには何を食べればいいのか
ここまで、脂質の種類の分類についてざっと説明をしましたが、皆さんが気になっているのは、
じゃあどの脂質が良くて、どの脂質が悪いのか、というお話かと思います。
取らない方がよい脂質
まず、真っ先に取らないに越したことは無い!と言える脂質は、
トランス脂肪酸
です。
トランス脂肪酸は、産業用に無理やり固形化させた油であり、体内での消化・分解が困難で、
毎日の摂取カロリーに占める割合が1-2%だとしても、血中の脂質値を大幅に上昇させ心臓疾患や突然死のリスクを3倍に高めると言われています。
先ほども述べたように、代表例としてはマーガリン・ショートニングです。
ショートニングはクッキーやパンに使われる食用油脂のことです。
そのため、成分表示を確認して、マーガリン、ショートニングなどと記載されている食品は食べないようにしましょう。
また、コンビニでついつい買ってしまう菓子パン、スナック菓子、クッキー、ビスケット、アイスクリーム、インスタント食品、レトルト食品、ファストフードには高確率でトランス脂肪酸が含まれています。
トランス脂肪酸が含まれた食品を食べる習慣があるのなら改善した方が良いでしょう。
過剰摂取には気をつけたい脂質
それでは、その他の脂質についてはどうすればいいのかというと、
実は、テレビCMなどの謳い文句で見聞きする印象ほどにははっきりと白黒つけられるものではありません。
ただ、語弊を恐れず「一般的に」という箇所を強調した上で申し上げるならば、
飽和脂肪酸とオメガ6系の脂肪酸の過剰摂取は一般的に、健康上の悪影響を及ぼします。
つまり、牛肉や豚肉、乳製品といった動物性の脂質である飽和脂肪酸の過剰摂取、サラダ油などオメガ6系の脂質の過剰摂取は体に脂肪を溜めやすく、動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・ガンなどのリスク要因となりえます。
またオメガ6系の脂肪酸は酸化して痛みやすいため、好んで食べていると必然的に酸化した食品を摂取する確率が高まり体に炎症を起こし老化や肥満、鬱などの原因となります。
炎症についてはこちらの記事もご参考ください。
https://www.youtube.com/embed/LmEF0sWqIuE 炎症とは何かがわかる! うつ病・老化・慢性疲労と炎症との関係性が分かる! 現代病に繋がるような炎症を抑える方法が分かる![…]
ただ、飽和脂肪酸の方の例外としては、ココナッツオイルやMCTオイル、またグラスフェッドのバターなどは、飽和脂肪酸の中でもエネルギーとして燃焼されやすい性質をもつ中鎖脂肪酸が豊富に含まれているため健康に良いとされています。
積極的に摂っていきたい脂質
一方で、
一価不飽和脂肪酸と、オメガ3系の脂肪酸は、一般的には積極的にとっていきたい脂肪酸であると言えます。
つまり、
一価不飽和脂肪酸でオレイン酸を豊富に含むオリーブオイルやアボカド、またオメガ3系のDHA・EPAが豊富に含まれる青魚やα-リノレン酸が豊富に含まれる亜麻仁油などです。
これらの脂肪酸は、炎症を緩和・抑制したり、血中の悪玉コレステロール値を下げる働きがあるだけではなく、精神を安定させ、記憶能力や学習能力を高めたり、脂肪の増加を防いだり、肌や髪が乾燥するのを防ぐ働きがあるとされています。
食材選びの際の注意点
さて、
ここで注意を喚起しておきたいことは、じゃあ動物性の脂肪とサラダ油は徹底的に排除して、オリーブオイルとDHAのサプリとココナッツオイルだけ食べる!というのは極端な行動であり、
脂質以外の栄養素への視点がまるっきり抜けてしまっています。
実際、オメガ6系の脂肪酸は、適量であればむしろ健康的には良い影響があるとされています。
ただ現代では揚げ物を始め、あらゆる食品にサラダ油をはじめとしたオメガ6系の脂肪酸が使われているため、過剰摂取になりがちなので控えめにした方が良いというのが、正しい認識です。
またココナッツオイルに関しましても、最近ではむしろ健康上マイナスの要因の方が多いという研究発表もあり、
ココナッツオイルに対して過度な信頼を置くのは危険であると言えます。
参考までに、厚生労働省の日本人の食事摂取基準における脂肪の摂取目安を紹介しておきますと、
食事からとるカロリーのうち、約20~30%は脂肪からとるのが好ましく、飽和脂肪酸の割合は食事全体の7%以下にとどめ、オメガ6系は約8~10g、オメガ3系は約1.5~2gと記載がされています。
この食事摂取基準については、その妥当性に対してこれまた賛否両論があるそうなのですが、
目安としては参考になるのではないでしょうか。
食事選びの際の簡潔な方針
といっても、
カロリー計算をするのは一手間かかりますし、
どの食品がどの脂肪酸なのかをいちいち把握するのも現実的では無いかと思いますので、
以上の内容をまとめた簡潔な方針を示します。
それは、
- 脂っこいお菓子や菓子パン、ジャンクフードとはもう縁を切る(トランス脂肪酸が含まれている確率が高いため)
- 揚げ物は極力避ける(オメガ6系脂肪酸の過剰摂取になりやすいから)
- オリーブオイル・アボカド・青魚を好んで食べる(抗炎症性がありエネルギー効率もよく無駄な脂肪の増加を防ぐから)
一応、今日紹介した脂肪の分類に関しては、食品の具体例も添えて簡単な一覧表を作っておきました。
こちらのダウンロードリンクより入手してご活用ください。
良質な脂質をとって健康になろう!
以上いかがでしたか?
今日の記事では、脂質について、その分類と特徴という面に絞って解説をしてきました。
コレステロールに関する話であったり、生産性を高める脂質の取り方、またオリーブオイルやDHA・EPAなどに関するもっと詳しい解説も面白い内容なのでしたかったのですが、
長くなりすぎてしまうので今後に回します。
ただ、
今日紹介した脂質の分類に関する理解があれば、今後、
健康上良い脂質について考える際の明確な判断材料になるかと思います。
また最後に注意点としては、
栄養の話というのは、ひと昔前までは健康とされていたのものが今では不健康とされるなど、
時代とともに認識がコロコロと変わる領域なので、過度な依存や信頼をしないようにしなくてはいけません。
あくまでもバランス意識は忘れないようにし、皆さんも日々健康への知識をアップデートしていきましょう!
この記事の内容が何か1つでもお役に立てておりましたら幸いです。
また、ダイエットなどの際の健康知識についてもっと詳しくなりたい方にはこちらの書籍がおすすめです。
食材選びの際の注意点
そして、当記事の内容は動画でも解説をしておりますので、合わせてご視聴頂けますとより一層理解を深めることができます。
最後までご視聴ありがとうご ざいました。
また次回の記事でお会いしましょう!
- 脂肪の役割
- 細胞・臓器・脳は脂肪でできている
- 細胞膜、ホルモンの材料
- 脂溶性ビタミンの吸収を促進
- 1gあたり9kcal
- 脂肪の種類
- 飽和脂肪酸(常温で個体)
- 短鎖脂肪酸
- 酢、バターなど
- 中鎖脂肪酸
- ココナッツオイル、MCTオイルなど
- 長鎖脂肪酸
- 牛脂、ラードなど、乳製品
- 短鎖脂肪酸
- 不飽和脂肪酸
- 一価不飽和脂肪酸(オメガ9)
- オリーブオイル、アボカドなど
- 多価不飽和脂肪酸
- オメガ6(リノール酸、サラダ油など)
- オメガ3
- α-リノレン酸(亜麻仁油)
- DHA、EPA(青魚)
- 一価不飽和脂肪酸(オメガ9)
- トランス脂肪酸
- 不飽和脂肪酸を人工的に固形化したもの
- 飽和脂肪酸(常温で個体)
- 避けるべき脂肪
- トランス脂肪酸
- 過剰摂取を気をつけるべき脂肪
- 飽和脂肪酸
- オメガ6(酸化しやすい)
- 積極的にとりたい脂肪
- 一価不飽和脂肪酸(オリーブオイル、アボカドなど)
- オメガ3(亜麻仁油、青魚など)
参考文献:
アール ミンデル(2004)『完全版 ビタミン・バイブル』 丸元 淑生訳 小学館
ティム・スペクター(2017) 『ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く』 熊谷 玲美訳 白揚社
牧野 直子(2016)『世界一やさしい! 栄養素図鑑』 新星出版社
中村丁次(2017) 『もっとキレイに、ずーっと健康 栄養素図鑑と食べ方テク』朝日新聞出版
デイヴ・アスプリー(2015)『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』栗原 百代訳 ダイヤモンド社