【マインドフルネス講座⑧】マインドフルネスと心と体の健康

【マインドフルネス講座⑧】マインドフルネスと心と体の健康

マインドフルネス第8回

これまで、大きなテーマとして、

・マインドフルネスとは(第一回〜第四回)
・マインドフルネスでストレスを軽減する方法(第五回〜第七回)

について解説してきました。

そして、今日からは「マインドフルネスと心と体の健康」に入っていきます。

内面世界と健康の関係について

人間の思い込みや考えといった内面的な部分は、

私たちの心と体の健康に対して大きな影響力を持っています。

実際、科学的な研究を通じても思考パターンや感情パターンというのが健康面に影響を与えることは立証されています。

例えば、ペンシルヴェニア大学のマーチン・セリグマン博士は、

経験に対する捉え方が楽観的な人と悲観的な人とでは、その経験が健康に与える影響に大きな違いがあるということを示しています。

それだけではありません。

  • 思考パターン
  • 感情パターン
  • 性格
  • 社会的結びつき

といった要素が、心と体の健康に大きな影響力を持っていることが明らかになっています。

つまり、ある種の思考パターンや感情パターンといった心理的傾向が、

心や体の病気へのかかりやすさと関係をもっているということです。

具体的には、

絶望感や無力感を増長する思考パターン、

自分では状況をコントロールできないという意識、

他者に対する敵意と皮肉癖、

人生に挑戦する情熱の欠如、

感情表現能力の欠如、

社会的孤立感を持ちやすいなどなど。

そういったある種の心理的傾向が、心や体の健康を害しています。

マインドフルネスで介入する心と体の健康問題

それでは、そのような心理的傾向に対してどのように対処していけば良いのでしょうか。

それは、マインドフルネスの実践で可能になります。

先ほど、心と体の健康に影響を及ぼすこととして、

・思考パターン
・感情パターン
・性格
・社会的結びつき

について触れましたが、今回の投稿ではその中でも「思考パターン」に焦点を絞り解説します。

結論として、マインドフルネスによる介入方法を述べますとそれは、

マインドフルネスによって自分の自動的な思考パターンに気づき、観察し、手放す

ということを繰り返し行っていきます。

マインドフルネスによって、自分の中にある有害だと思える思考パターンを意識し、それを観察対象にまでずらし、解消していくということです。

健康に悪影響を与える思考パターンとは

健康に悪影響を与える思考パターンとして、マインドフルネスストレス低減法の提唱者であるジョン・カバットジン博士は次の4つを挙げています。

  1. 物事を悲観的に捉えやすい
  2. 自分には出来ないと思いやすい
  3. 新しい状況を脅威と捉えやすい
  4. 思考や状況に筋を見出すのが苦手

しかし、逆に言えばそれら4つを次のように真逆にすると良いということです。

①’物事を楽観的に捉える
②’自分の能力に自信を持つ
③’新しい状況をチャンスと捉える
④’思考や状況に筋を通す意識を持つ

それぞれについて、どのようにマインドフルネスで介入するのか解説します。

これから紹介するのは、自動化された思考パターンにマインドフルネスでどのように介入するかという方法です。

それぞれについて共通点がどこにあるのかを考えながら読み進めて下さい。

①悲観的→楽観的に

悲観的になるとは

  • 自分のせいだ
  • どうせうまくいかない
  • うまくいかなかったらどうしよう
  • 心配だ、不安だ、怖い、、

というように、状況や将来に対してネガティブな捉え方をするということです。

ここにマインドフルネスで介入するというのは、

あ、自分は「今ここ」で、悲観的に思考しているな

と気づき、それを単なる1つの思考として観察するということです。

それ以上の深追いをしません。

そうすることで、一度中立の状態へと移行することが出来ます。

そしてその中立の状態を維持するようにしましょう。呼吸に注意を戻し今この瞬間を生きていることを感じます。

中立の状態を維持しながら、楽観的に捉えられるポイントは無いか考えます。もし楽観的に捉えられるポイントが思い浮かんだら、それを

主体的に選択します。

今ここで、私は、楽観的な方を選択する。

と思考を自分で選択したことを意識します。

②出来ない→出来る

朝早く起きた方がいい、すぐ取り掛かった方がいい、がんばった方がいい、

でも、自分には出来ない。自信が持てない。

そのように思ったとき、

あ、自分は「今ここ」で、「出来ない」と自信がないように思考しているな

と気づき、それを単なる1つの思考として観察します。

それ以上の深追いをしません。

そうすることで、一度中立の状態へと移行することが出来ます。

そしてその中立の状態を維持するようにしましょう。呼吸に注意を戻し今この瞬間を生きていることを感じます。

中立の状態を維持しながら、「出来る」と思えるポイントは無いか考えます。もしそのように捉えられるポイントが思い浮かんだら、それを

主体的に選択します。

今ここで、私は、「出来る」と思える方を選択する。

と思考を自分で選択したことを意識します。

③怖い→チャンス

新しいこと、未知のこと、を目の前にしたとき

  • 嫌だな〜
  • やめられないかな〜
  • 不安だな〜

と思ったとしたら、それは恐怖を感じています。

しかし、恐怖をチャンスに変えれたら、それは心にも体にも良い影響を与えてくれます。

「怖いな」

そのように思ったとき、

あ、自分は「今ここ」で、将来に対する怖れの思考をしているな

と気づき、それを単なる1つの思考として観察します。

それ以上の深追いをしません。

そうすることで、一度中立の状態へと移行することが出来ます。

そしてその中立の状態を維持するようにしましょう。呼吸に注意を戻し今この瞬間を生きていることを感じます。

中立の状態を維持しながら、「チャンス」と思えるポイントは無いか考えます。もしそのように捉えられるポイントが思い浮かんだら、それを

主体的に選択します。

今ここで、私は、「チャンス」を見つける

と思考を自分で選択したことを意識します。

④バラバラ→筋を通す

やりたいことと、していることが違う
やった方がいいことと、していることが違う
思っていることと、行っていることが違う

など。

思考・感情・行動に対して一貫性を見出せないのも、

思考パターンであるとジョン・カバットジン博士は言っています。

自分の、思考・感情・行動に対して、

筋が通ってなくてバラバラだな〜

そのように思ったとき、

あ、自分は「今ここ」で、「筋が通ってない」と思考しているな

と気づき、それを単なる1つの思考として観察します。

それ以上の深追いをしません。

そうすることで、一度中立の状態へと移行することが出来ます。

そしてその中立の状態を維持するようにしましょう。呼吸に注意を戻し今この瞬間を生きていることを感じます。

中立の状態を維持しながら、今ここで思考・感情・行動に一貫性を持たせる選択肢は無いか考えます。もしそのように考えられるポイントが思い浮かんだら、それを

主体的に選択します。

今ここで、私は、「筋を通す」と思える方を選択する。

と思考を自分で選択したことを意識します。

 思考パターンを変化させられないと思ったら

マインドフルネスの実践という観点だけでしたら、思考パターンを変えようとする必要はありません。

先ほど列挙した、

  • 悲観的
  • 出来ない
  • 怖い
  • バラバラ

という思考を自分が持っていることを認識し、観察し、それ以上深追いしないようにします。

それだけでも十分な効果はあります。

今までは、呼吸や経験などに対してマインドフルネスで対処する方法を紹介しましたが、今回のように思考に対してもマインドフルネスで対処することはできます。

その本質は、

自分の思考に気づき、観察する。それを、今、ここで。

ということです。

今回から、テーマの最終章です。

これまでの実践を通じて磨いたマインドフルネスの心の持ち方を、

思考面、感情面に適用させていき、心と体の健康に結びついていく、その方法をこれから数回にわたって解説していきます。

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