これまでに、人間関係の心理学として、
・他者を見る時の「観察眼」を持つ
・対人関係に潜む認知の歪みを避ける
・課題の分離で距離感を間違えない
ということについて解説してきました。
そして、今日は自分と相手との関係性の作り方について考え方を紹介していきます。
自己開示と返報性のルール
自己開示とは、自分の肯定的な部分も否定的な部分も隠さずに打ち明けることをいいます。
また、返報性のルールとは、相手に何かをされると自分も同じことを返したくなるという心理効果のことです。
この、自己開示と返報性のルールを組み合わせることで、相手との関係性をスムーズに構築していくことができていきます。
自己開示では例えば、
- 趣味
- 出身地
- 家族のこと
- 家庭の話
- 仕事
- 今考えていること
- 将来の夢
- 悩み
- 価値観
- 人生観
など。
このように、先に自分のことについて話すことによって、返報性のルールが働き相手も自分のことを話しやすくなります。
自己開示をお互いにし合うことによって、互いに理解し合うことができ、信頼関係を発展させることにつながります。
段階を追って自己開示する
ただし、初対面の人に対していきなり自己開示を一方的にし続けるのは避けましょう。
焦らずに段階を追って行うことをイメージし、最初は雑談から。そこから徐々に情報を深めていきます。
ポイントは、
- いきなり深い話はしない
- 相手の自己開示にはこちらも返す
- 反応が薄い時は話題を変える
相手との関係性をうまく構築できないという方の多くは、この「自己開示」が苦手である可能性が高いと言えます。
小さなことからでいいので、意識的に自己開示をしてみましょう。
聞き上手になる
人は誰しも、話したい、自分の話を聞いて欲しいという欲求を持っています。
心理学者マタラゾは、採用試験にて積極的にたくさんうなずいた場合と、そうでない場合とで、どの程度応募者の反応が変わるかを実験しました。
すると、面接官が積極的にうなずいた時に、なんと応募者の発言量が50%も増加しました。
聞き上手になることで、相手から多くの情報を引き出せ、より深く相手のことを理解することが出来ます。
また、話もスムーズに進むので自分から話すことも多くなり、互いに理解を深め合うことができます。
聞き上手になるポイントは次の6つ。
- アイコンタクトをとる
- うなずき、相槌をうつ
- バックトラッキング(相手の発言を繰り返したり要約したりする)
- ペーシング(話すスピード、リズムを相手に合わす)
- ミラーリング(相手の仕草のタイミングを合わす)
- 笑顔(好意を示す代表的なジェスチャー)
断り上手になる
また、断り上手になることもポイントです。
実は、この断るのが苦手、ということが相手との関係性を築く上でのハードルとなっているケースが多くあります。
ただ、どんなに仲の良い人同士であったとしても、お願いに対して断ったり、断られたり、ということはあります。
関係が出来上がってしまうともう断れないと思う必要はありません。
断り方について知っておけば、そのような場面になるとしても関係性を損ねることなく断れます。
断る時の心構えとしては6つあります。
- まずはっきり断ることを決意する
- 頭ごなしに断るのではなくワンクッションいれる(「できれば期待に沿いたいのだけど、、、」など)
- 意志をはっきり伝える(中途半端な意志表示はしない)
- ずるずる返事を伸ばさない
- 簡潔にきっぱり
- 罪悪感を持たない
6つ目の罪悪感を持たないということはとても重要です。
前回、「課題の分離」についても触れましたが、断られたことに対してどう思うかを決めるのは相手です。
相手がどう思うか、というのは相手の課題ですので、深く思い悩む必要はないのです。
まとめ
今回の内容では、
- 自己開示と返報性のルール
- 聞き上手になる6つのポイント
- 断り上手になる6つのポイント
について紹介しました。
これができれば大丈夫、といったような網羅的な方法では決してありませんが、
他者との心理的な距離感を適切に詰めていく際の指針となるはずです。