頑張りたいのに頑張れない。
凹んでいる場合ではないのに、元気が湧いてこないから、
頭も体も思うように働いてくれない。
そんな時、みなさんは一体どうしているでしょうか?
ゆっくり休むというのも一つの有効な手段ですが、
一体どうして元気が出ないのか、その原因を分析してみることで、
思わぬ突破口が見えてくることもあります。
それに、自分の状況を客観的に分析する視点は、ネガティブな感情に覆われて自分を見失ってしまうことを防ぎ、自己改善のための前向きな歩みを推し進めることに繋がるはずです。
今日の記事では、元気が出ず困ってしまっている時の原因分析スキルについて、
そのための着眼点を紹介していきます。
元気が出ない時の原因分析スキル
原因が分かれば、解決策が見えてきます。
解決策が分かれば、そのために行動するモチベーションが生まれます。
行動することが出来れば、状況は変わり、
それを続けていくことで気づいた時には初めの時よりも大きく状況は改善されています。
それに、メンタルの不調の原因を分析するという取り組みは、
自分自身を客観的に捉えることのできる良い思考習慣です。
ネガティブな感情に埋没していては、ポジティブな行動をそこから起こすのは難しいものです。
しかし、自分を客観的に眺めてネガティブな気持ちから距離を置くことが出来れば、
そこから影響を受けないニュートラルな立場で思考し行動することができるはずです。
といっても原因分析も一つのスキルです。
自分のことを分析するためには、分析のための「視点」が必要です。
これから、元気が出ない時、その原因を分析するための視点について紹介していきます。
メンタル不調の原因分析の視点
メンタルの不調と一言でいっても、その実態には幅があります。
以前こちらの記事で紹介した、メンタルの状態の9段階も、
自分のメンタルの状態を分析する際の尺度の一つです。
https://youtu.be/Uz0grTOFXikロボ太郎突然ですが、一体どうすれば心身ともに最高のコンディションを維持できるようになるのか、興味がありませんか?この記事では人間のメンタルの状態を9つに分けて考え、[…]
さらに、倦怠・無気力・鬱、といっても、その中を覗いてみると、
様々なネガティブな感情が渦巻いているはずです。
すなわち、人の心というのはそうたやすくシンプルに捉えられるようなものではありません。
また、人それぞれであることは言うまでもなく、人ひとりとってみても、時と場合によって心のあり様は変わります。
そのため、必要になってくるのは、人や時間や場所といった要素に左右されることなく、
自分を分析するための「視点」です。
さて、自己分析のための「視点」というのは、それこそ数多くあるものですが、
ここでは「元気が出ない」といったメンタル面の不調を前にした時に有効な視点を紹介します。
それは、
- 肉体的に何が原因か
- 心理的に何が原因か
- それらが互いにどう作用しあっているか
という視点です。
肉体的な原因とは、脳内神経伝達物質や体内ホルモン、自律神経といった体内メカニズムの問題です。
心理的な原因とは、状況を自分がどう認知し評価しているかという認知の問題です。
そして、それら心理的・肉体的な原因というのは、独立しあっているわけではなく、
互いに影響を与え合う関係にあるため、それらの関係性も含む包括的な視点が必要となってきます。
それではここから、
肉体的な原因として、
- セロトニンの不足
- 抗ストレスホルモンの不足
- 自律神経の乱れ
心理的な原因として、
- 認知のゆがみ
- 学習性無力感
について総合的に解説していきます。
もちろん、それらの知識がすべてというわけではありませんが、
今日の記事ではそれらについてピックアップして解説していきます。
メンタルの不調を分析するための視点①肉体的に何が原因か
「元気が出ない」「やる気が出ない」「ネガティブにばかり捉えてしまう」といった悩みを前にすると、
心理的な面ばかりを考えてしまいがちですが、実はむしろ肉体的な不調が原因であったりします。
例えば、気持ちが落ち込んでばかりいたけど、
睡眠時間を長くし、栄養バランスに気を使い、適度な運動習慣を取り入れるようにしたところ、メンタル的な落ち込みからすっかり抜け出すことが出来たといったような時。
問題の根本的な原因は、むしろ肉体的な不調にあったと言えるわけです。
ただ、「元気が出ない」という心の問題を前にしたとき、その原因を肉体的な問題に見出すためには知識が必要です。
そのための知識として3つ、
- セロトニンの不足
- 抗ストレスホルモンの不足
- 自律神経の乱れ
について解説します。
視点A セロトニンの不足
セロトニンとは、脳内神経伝達物質の一つでメンタルの安定をもたらす役割があります。
セロトニンが足りていると、朝の目覚めはスッキリ爽快で、気持ちを明るく前向きに保てます。
また、過度な興奮、過度な落ち込みを防ぎ、「落ち着いているけど意識は覚醒している」というように理想的なメンタル状態を維持することに繋がります。
逆に、セロトニンが不足していると気持ちが安定せず、些細なストレスに対しても過剰に反応してしまいます。
また、自然な眠気をもたらすメラトニンは、日中に分泌されたセロトニンを原料に作られますので、セロトニン不足はそのままメラトニン不足に繋がり、睡眠の質を下げることにつながります。
元気が出ないといったメンタル面の不調を前にしたとき、
その原因を分析するための一つの視点として「自分のセロトニンの状態はどうか?」という視点は有効です。
例えば、
家にばかりいて太陽に当たることが少ない。
運動習慣がなく家でじっとしてばかりいる。
食生活に偏りがあってセロトニンの原料のトリプトファンやビタミンB6などが足りていない。
そういった状態のとき、セロトニンの不足が疑われます。
もし、思い当る節がある場合、セロトニンの役割や増やす方法などについて、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、この後是非合わせてご視聴ください。
視点B 抗ストレスホルモンの不足
抗ストレスホルモンとは、日中ストレスを感じるようなことを前にしたときに分泌されるホルモンの総称で、例えばコルチゾールやアドレナリンなどがあります。
こうしたホルモンが分泌されることで、交感神経が刺激されて肉体が活性化され、
困難を前にしても立ち向かう元気が湧いてきます。
締め切りを前に、よし頑張ろう!と気合が入ったり。
仕事でミスをしても、よし改善していこう!と前向きに気持ちを切り替えたりと。
しかし、そうした抗ストレスホルモンは無限に分泌されるものではなく限りがあります。そのため、枯渇してしまうと、どうしても体に力が入らないという状態になってしまうのです。
問題なのは、元気が出ないことを「気合の問題」などと根性論でとらえてしまい、疲れた体に鞭を打って回復のタイミングを失ってしまうことです。
この前まで、働きっぱなしでも走り続けられていたのに、突然元気が出なくなってしまった、そんな時は抗ストレスホルモンの不足が疑われます。
ちなみに、抗ストレスホルモンと疲労感の問題について、こちらの動画で解決策まで詳しく解説しておりますので、思い当たる節のある方は是非合わせてご視聴ください。
https://youtu.be/yyXqHLVk4i4 ロボ太郎この記事では、「適応障害」とは何か、について基礎的な知識を解説し、そこに至る心理的、脳科学的、肉体的なメカニズムについて解説していま[…]
視点C 自律神経の乱れ
自律神経とは、私たちが意識することなく自動で動き続ける神経の総称で、
アクセル役の交感神経と、ブレーキ役の副交感神経があります。
自律神経が整っている時というのは、頑張る時にはちゃんと頑張れて、休憩する時にはちゃんと休憩することができます。
頑張りたいときに頑張れず、休みたいのに逆に目が覚めてしまう、
そのような時は、まさに自律神経が乱れている証拠です。
冒頭で、メンタルの状態の9段階について紹介しましたが、交感神経が優位な時には上へと向かい、
副交感神経が優位な時には下へと向かいます。
ここで問題なのは、私たち現代人は交感神経が優位になりやすい環境にいる時間が、
否応がなしに長くなってしまっているということです。
その結果、過度に興奮する時間が長すぎて回復する時間が少なく、また休憩の質も下がることになってしまっているため、慢性的な疲労感に苛まれてしまうことになるのです。
毎日が多忙でゆっくりする時間がなく、それでいて慢性的な疲労感を感じているのなら、
自律神経の乱れを疑ってみるとよいでしょう。
自律神経の乱れと、副交感神経を優位にして回復力を高める方法について、
こちらで解説しておりますので、思い当たる節のある方は是非合わせてご覧ください。
https://youtu.be/Uz0grTOFXikロボ太郎突然ですが、一体どうすれば心身ともに最高のコンディションを維持できるようになるのか、興味がありませんか?この記事では人間のメンタルの状態を9つに分けて考え、[…]
「元気が出ない」「やる気が出ない」といったメンタル面の不調を前にすると、
思わず心理的な問題ばかりに目が行ってしまいがちですよね。
しかし、いまここで紹介したような3つの着眼点
- セロトニンの不足
- 抗ストレスホルモンの枯渇
- 自律神経の乱れ
といった問題が実はメンタル面の不調の原因となっているケースは多くあるはずです。
心の問題に取り組むにあたって、是非、体の健康を改善するというアプローチの視点を持つようにしてみてください。
それでは次に、心理的な着眼点について紹介します。
メンタルの不調を分析するための視点②心理的に何が原因か
視点A 認知のゆがみ
同じ事実を前にしても、人によってそこから何を感じるか、そしてどのような行動に繋がるかが異なるのは、その事実に対する認知の仕方が異なるからです。
そのことについての分かりやすい説明にABC理論というものがあります。
これは、
事実Aに、認知Bが入ることで、感情・行動のCが生まれるというものです。
すなわち、「元気が出ない」「やる気が出ない」「ネガティブな気分」という時、
ABC理論に沿って状況を分析するならば、
今の自分を取り巻く状況に対して、そのような状態に陥るだけのネガティブな認知の仕方をしているということなのです。
ネガティブな認知の在り方について、認知療法の知識においては10パターンあるとされており、こちらの動画で解説しています。
ただ、そこに特徴的なのは、
「絶対○○に違いない」といった断定的な認知の在り方があるということです。
もし、この認知の歪みこそが、今の自分の状態に当てはまると思われるのなら、
そうした「絶対に○○に違いない」といった思い込みに対して「必ずしも○○ではないのでは?」と自問するという方法を試してみてください。
また、そうしたアプローチは認知行動療法として確立されております。
こちらの記事で詳しく解説しておりますので是非合わせてご視聴ください。
https://youtu.be/tVSnpM4YNgQロボ太郎みなさんこんにちは。ライフハックアニメーションです。今日の記事では「心の反応の仕組み」について解説していきます。ところで皆さ[…]
視点B 学習性無力感
学習性無力感とは、その名の通り、無力感を学習し無気力に陥ってしまった状態のことです。
頑張ってもうまく行かないという経験を何度も繰り返していると、
人は努力をする気持ちが失せてしまいます。
例えば、
- いくら努力したところで結果に影響を及ぼすことはどうせない
- 自分の能力ではどうあがいたところで状況は改善されない
- 今の困難な状況は今後も変わることなく続くだろう
そのように思うことが多いのなら、無力感を脳が学習し、結果として無気力に陥ってしまっている可能性があります。
他者との競争を意識せざるを得ないような環境に置かれやすい現代人は、
この学習性無力感に陥りやすいといえます。
ちなみに、思い当たる節がある方は、こちらの動画で改善策まで解説しておりますので、是非合わせてご視聴ください。
メンタルの不調を分析するための視点③肉体的・心理的な問題がどう影響しあっているか
そして最後に、忘れてはいけないのが、
ここまで紹介してきたような、肉体的・心理的な視点というのは、
相互に影響しあっているということです。
例えば、学習性無力感に陥って、無気力状態にいるのに、それでも気持ちを押し殺して頑張り続けた結果、
抗ストレスホルモンは枯渇し、生産性は下がり、残業が増えたことで生活リズムは崩れセロトニンも不足。
体調は悪化し、ますます元気になれず、些細なことに対してもネガティブな捉え方ばかりをしてしまい、
気持ちは落ち込む一方。
自律神経は乱れに乱れ、心身の回復機能は落ち、つらい毎日が続いてしまっている。
そのような時、肉体的な問題か、心理的な問題か、といった一面的な視点では状況の改善はなかなか難しいものです。
そのため、メンタルの不調について、その原因を分析する際には、
より総合的な視野でもって、心と体の両面からのアプローチが必要になってきます。
このチャンネルでは、「心と体の健康」について、これまでも、そしてこれからも掘り下げて解説していきますので、
一緒にスキルとしてのライフハックを学んでいきましょう!
まとめ
それでは最後に今日の内容をまとめておしまいにします。
「元気が出ない」「やる気が出ない」「ネガティブにばかり考えてしまう」
そういった、メンタル的な不調を抱えている時、
その原因について分析するスキルはあらゆる状況に対処できる有効な手段です。
それに、自分について分析することは、ネガティブな状態から距離を置き、
客観的な立ち位置から自己改善のためのポジティブな歩みを続けるために役立ちます。
そのための視点として、
- 肉体的な原因は何か
- 心理的な原因は何か
- それらがどう影響しあっているか
という着眼点を紹介しました。
メンタルの不調が問題にある時、心理的な原因にばかり目が行きがちですが、実は肉体面の問題にこそ、
解決のための糸口があることが多くあります。
それは例えば、
- メンタルの安定をもたらすセロトニンの不足問題
- 困難に立ち向かうために肉体を活性化する抗ストレスホルモンの枯渇問題
- 肉体のオンオフを正常に切り替え回復機能を高めるための自律神経の乱れの問題
などです。
またもちろん、心理的な問題にも注目する必要があります。
それは例えば、
- ネガティブな感情や行動ばかりが生じるような認知的な歪みの問題
- 無気力を学習してしまった学習性無力感の問題
などです。
そして、重要なポイントは、それら肉体的・心理的な問題というのは、
相互に影響しあっているため、どちらか片方ばかりに注目するのではなく、心と体の両面からのアプローチが大切になってくるということです。
このチャンネルでは、そうした心と体の健康の両面からのアプローチに重きを置き、
情報を発信しておりますので、是非これからも一緒に学んでいきましょう!
メンタルの塔との関連付け
それでは最後に、メンタルの塔との関連付けをしておしまいにします。
メンタルの塔とは、このチャンネルで一押ししている心と体の健康維持に役立つイメージです。
https://youtu.be/ME0E8rm1HTM 「メンタルの塔」とは何かについて紹介していきます。 メンタルの塔とは「メンタルの塔」とは、人間の精神状態を地下10階から地上10階[…]
メンタルの塔では、理想の状態を自分にとって居心地のよい階数の間を行ったり来たりできている状態のことであるとしていますが、
今日の記事の内容は、頭では分かっているのに、思うように自己改善できないという時、役に立つ知識です。
メンタルの不調の原因を分析することは、思わぬ突破口を見つけるキッカケになるはずですし、
そうした視点は、ネガティブな状態に陥ってネガティブな事しか考えられなくなっている状態から抜け出し、
前向きな一歩を踏み出すことを可能にするはずです。