「神経伝達物質」については↑の動画でも詳しく解説をしております!
- 人間のメンタルに影響を与える神経伝達物質について理解が深まる!
- 神経伝達物質とは一体何かがわかる!
- 自分のメンタル改善のために必要な脳科学的な知識を得ることができる!
この記事では、心の働きに影響を与える神経伝達物質について解説しています。動画と合わせてご覧いただくことで、メンタル面に特に影響をもつ神経伝達物質について詳しくなることができます。
メンタルに影響を与える神経伝達物質の種類と効果について解説!
みなさんこんにちは!
突然ですが、このようなメンタルの不調はありませんか?
- なんだか最近怒りっぽい気がする
- やる気を出したいのになぜかやる気が出ない
- 気分が明るい時と暗い時の差が激しい
結論から言うと、こういった悩みの原因を理解する鍵は、脳内の「神経伝達物質」にあります。
神経伝達物質というと、巷では「ドーパミン」や「セロトニン」など、様々なカタカナ用語が溢れていますよね。しかし、それぞれがどんな役割をしているのか、よく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今日の記事では、特に「メンタル面」の安定に関係する神経伝達物質に焦点を当てて、その主な種類や効果を解説していきます。
是非最後までお楽しみください!
神経伝達物質とは?
神経伝達物質とは、脳内で分泌されている化学物質であり、その種類は100種類近くもあると推定されています。
ちなみに、神経伝達物質とよく似た言葉として、「ホルモン」という言葉もよく耳にしますよね。神経伝達物質とホルモンは、どちらも体内の情報伝達に関わる化学物質であるという点で、基本的には同じものです。
ただし、「ホルモン」は血液を介して情報伝達する化学物質を指すのに対し、「神経伝達物質」は神経細胞間で情報伝達を行う化学物質を指すという違いがあります。
そんな神経伝達物質の役割は、脳内の情報伝達をスムーズにすることです。
脳内には「神経細胞」という細胞が張り巡らされており、それらの細胞間を電気信号が高速で伝わることによって、私たち人間は「身体を動かす」「物体を認識する」といった様々な活動ができます。
しかし、神経細胞同士は直接繋がっているわけではありません。そのため、電気信号を伝えるためには、神経細胞間を仲介するものが必要になります。この、神経細胞間を仲介するものが、神経伝達物質なのです。
要するに、
神経伝達物質があることによって脳内の情報伝達がスムーズになり、その結果、私たち人間は様々な活動ができるという仕組みになっているのです。
では、神経伝達物質と心の間には、一体どのような関係があるのでしょうか?
神経伝達物質と心の関係
ここでお話しする「心」とは、一言で言うと、喜怒哀楽や知性、意思といった精神に関わる様々な作用の事です。
「心」の仕組みについては、現代科学で完全に解明されているわけではありません。しかし、少なくとも、心には神経伝達物質が重要な役割を果たしているという事は解明されつつあります。
出来るだけ簡単に説明してみますので、ぜひついてきてくださいね!
様々な心の動きが生まれる仕組み
例えば、いちごを食べた時に、脳内では何が起こっているか考えてみましょう。
まず、目や舌、鼻などの感覚器官から情報を取り入れます。
感覚器官から受け取った情報は脳に送られ、電気信号として神経細胞内を伝わっていきます。
この時、神経細胞同士は、受け取った電気信号を神経伝達物質に変換する事で情報伝達をします。送り手の神経細胞は、神経伝達物質を放出することで、受け手の神経細胞に信号を届けるのです。
受け手の神経細胞には、神経伝達物質を受け取るための鍵穴のようなものがついています。これを「受容体」と言いますが、送られてきた神経伝達物質が特定の受容体に結合すると、受け手の神経細胞に信号が伝わります。
このようにして神経細胞の間を信号が複雑に行き来し、すでに脳の中に蓄えられているいちごの記憶と照合される事で、
- 甘い!
- もっと食べたい!
- また買いに行こう!
といった、様々な心の動きが生まれると考えられています。
以上が、神経伝達物質が心の動きを作る大まかな流れです。
時と場合によって心模様が変化するのはどうして?
しかしここで、新たな疑問が生じます。
例えば、同じいちごを感覚器官で捉えたとしても、
- 人によって感じ方が違う
- 自分の中でも時と場合によって感じ方が違う
このような違いが生まれるのは一体どうしてでしょうか?
その原因は複数考えられますが、原因の一つは、簡単にいうと、
脳内の電気信号の「アクセル」と「ブレーキ」の効き方に差異があるためであると考えられます。
神経伝達物質はその性質によって、「興奮性」と「抑制性」の2つに分類できます。
興奮性の神経伝達物質は、いわゆる「アクセル」のようなもので、信号を増幅させる性質があります。
一方、抑制性の神経伝達物質は、いわゆる「ブレーキ」のようなもので、信号を減衰させる性質があります。
例えば、興奮性の神経伝達物質によって信号が増幅された場合、「もっといちごを食べたい!」という欲求が高まるかもしれません。ただ、それと同時に抑制性の神経伝達物質によってその信号がある程度抑制された場合、「腹八分目にしておこう」と自制心が働くかもしれません。
このように、私たちの心模様は、多かれ少なかれ、神経細胞間を仲介する神経伝達物質の「アクセル」と「ブレーキ」の影響を受けているというわけですね。
そして、この事は裏を返すと、神経伝達物質の「アクセル」と「ブレーキ」をうまくコントロールすることで、心の安定につながるという事です。
では、神経伝達物質にはどのような種類があるのでしょうか?また、それらをうまくコントロールするためには、どのような生活を心がけると良いのでしょうか?
メンタルの安定に重要な役割を果たしている神経伝達物質
冒頭でも触れたように、神経伝達物質の種類は100種類近くあると言われますが、この記事では、メンタルの安定に関係する代表的な5つの神経伝達物質に焦点を当て、その基本的な特徴を解説します。
具体的には、
- ノルアドレナリン
- ドーパミン
- セロトニン
- γ-アミノ酪酸(GABA)
- βエンドルフィン
これら5つについて解説していきます。それでは順に見ていきましょう。
1. ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは、
- 不安
- 恐怖
- 怒り
- 戦闘意欲
といった精神状態と関係している、興奮性の神経伝達物質です。
ノルアドレナリンが減少すると、
- うつ病
- パニックなどの不安障害
- 自律神経失調症
こういった症状につながると言われています。
ノルアドレナリンの減少を防ぐためには、慢性的なストレスをためないように心がけてみてください。慢性的なストレスがあると、ノルアドレナリンが常に放出されている状態になり、その結果、ノルアドレナリンの生成が追いつかず、減少してしまうためです。
ちなみに、ノルアドレナリンは脳だけでなく、内臓の副腎髄質という場所からもホルモンとして分泌されています。その場合には、「アドレナリン」と呼ばれることもあります。
2. ドーパミン
ドーパミンは、
- やる気
- 快楽
- ワクワク感
といった精神状態と関係している、興奮性の神経伝達物質です。
基本的には、欲求を感じた時と、その欲求を満たしている時に活性化されることが知られています。
ドーパミンが不足すると、
- 無気力状態
- 手足の震えなどの身体症状(パーキンソン病)
ドーパミンが過剰になると、
- 攻撃的になる
- 各種依存症
- 幻覚、妄想傾向
こういった症状が現れる可能性があります。
ちなみに、アルコールを飲むと、ドーパミンの「ブレーキ」となる抑制性の神経伝達物質の効きが弱まってしまいます。そのためもっと飲みたいという欲求に歯止めが効かなくなって飲みすぎてしまいがちなのです。お酒を飲むときは、このことを心に留めておきましょう!
3. セロトニン
セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの活動を調節し、不安感を無くし精神を安定させる働きのある神経伝達物質です。作用する場所に応じて、興奮性に働く場合と抑制性に働く場合があります。
また、セロトニンは脳だけでなく、消化管などからも多く放出されており、睡眠、覚醒、食欲、性欲といった生命維持に必要不可欠な活動に関わっています。
そんなセロトニンが不足すると、
- うつ
- 不安障害
- 睡眠障害
- 食欲や性欲の減退
こういった症状が現れる可能性があります。
セロトニンを増やすためには、
- 朝日をしっかり浴びる
- 肉類、納豆、アーモンド、乳製品などを積極的に摂る
- ビタミンB6などのビタミン類をバランスよく摂る
といった生活習慣を心がけると良いでしょう。
4. γ-アミノ酪酸(GABA)
γ-アミノ酪酸は、通称GABAとも呼ばれる、抑制性の神経伝達物質です。GABA入りのチョコレートなどで有名な、あの物質ですね。
GABAにはセロトニンと同様に、神経の興奮や緊張、不安を鎮めるといった精神安定の作用があります。
そんなγ-アミノ酪酸が不足すると、
- 不安障害
- うつ
- 統合失調症
といった症状が現れる可能性が指摘されています。
γ-アミノ酪酸をふやすためには、発芽玄米などがおすすめです。このほか、マグロ、カツオなど、ビタミンB6を豊富に含む食品は、体内でγ-アミノ酪酸の合成を促進すると言われています。
5. βエンドルフィン
最後は、βエンドルフィンです。βエンドルフィンは、別名「脳内麻薬」とも呼ばれる神経伝達物質です。リラックス時や笑った時、性行為などで分泌されやすいと言われます。
βエンドルフィンは、基本的には、
- リラックス
- 多幸感
- 鎮痛作用
- ランナーズハイのような陶酔感
といったポジティブな精神作用に関係していることが知られています。
ただし、βエンドルフィンの作用については現時点で解明されていないことが多く、βエンドルフィンが過剰になると、
- 生殖障害
などにつながる可能性も指摘されています。
一言でまとめると、神経伝達物質は多すぎたり、少なすぎたりするよりも、「ほどほどが一番」ということですね。
まとめ
以上いかがでしたか?
今日の記事では、私たち人間の活動に影響を与える神経伝達物質について、その基本的な仕組みを解説しました。
その中でも特に、メンタルの安定に関係する神経伝達物質に焦点を当て、代表的なものとして、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、γ-アミノ酪酸、βエンドルフィンの5つについて解説しました。
この記事でお伝えしたポイントを参考に、ぜひ神経伝達物質の観点からも、メンタルの安定を目指してみてくださいね。
ちなみに、ノルアドレナリンについてはこちらの記事、
ドーパミンについてはこちらの記事、
セロトニンについてはこちらの記事でも詳しく解説しておりますので、
もっと知識を深めたい!と思われた方は是非合わせてご視聴ください。
この記事の内容が何か⼀つでもお役に立てておりましたら幸いです。
最後までご愛読ありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう!
- 神経伝達物質とは
- 脳内で分泌されている化学物質であり、100種類近くもある
- メンタルの安定に重要な役割を果たしている神経伝達物質
- ノルアドレナリン
・不安、恐怖、怒り、戦闘意欲と関係 - ドーパミン
・やる気、快楽、ワクワク感と関係 - セロトニン
・精神のバランス調整に関係 - γ-アミノ酪酸(GABA)
・神経の興奮や緊張、不安を鎮める - βエンドルフィン
・リラックス、多幸感、鎮痛作用
- ノルアドレナリン
P.S.当記事の内容はYoutube動画でも解説しておりますので合わせて御視聴ください。
参考書籍:
野口 哲典 (2011) マンガでわかる神経伝達物質の働き ヒトの行動、感情、記憶、病気など、そのカギは脳内の物質にあった!! SBクリエイティブ