ニーチェの哲学入門

ニーチェの哲学を分かりやすく要約して解説!(名言、言葉の解説)

「ニーチェの哲学」については↑の動画でも詳しく解説をしております!

  • ニーチェの実存哲学の基本が分かる!
  • 様々な悩みに対する捉え方が変わる!
  • 人生を前向きに生きるためのヒントが見つかる!

この記事では、ニーチェの実存哲学の基本を解説していきます。動画と合わせてご覧いただくことで、人生を前向きに生きるための心の持ち方を学ぶことができます!

突然ですが、「ニーチェ」ってご存知でしょうか。なんか聞いたことある!世界史でやった気がする!という方もいれば、何それ人なの?物なの?わかんなーいもう無理っ!嫌だっ!という方もいると思います。

構いません!ご安心してください!

今回の記事では、どんな方でも分かるように『哲学者ニーチェ』の考え方を解説していきます!

まず、なぜ、ニーチェの哲学を学ぶと良いのか。

そのメリットを端的に言いますと、
人生に前向きになれます!

この記事を読んだ皆さんが、

  • 今抱えているいろんな悩みや辛いことに、そこまで悩む必要ないな!
  • 常識に捉われなくていいんだ!
  • 自分の意志をもっと大切にしよう!

そう思ってくださることが、この記事の目的です!

そのために、

ニーチェの基本的な考え方をまず押え、
その中で、人生を前向きにしていくエッセンスを掴んでいってもらいたい、と思います。

ニーチェの考え方は非常に強烈です!私も最初知った時は、こんな考え方あるのかー!と今までの自分の考え方が壊されるくらいの体験をしました!みなさんにもそれを味わってもらいたいと思います!

是非最後までお楽しみください。

本当はありもしない事に惑わされてはいけない

実存主義

人間は石ころと同じ?!

ニーチェの哲学を一言で言うならばそれは実存哲学です。

実存というのは端的に言うと「現実存在」という言葉を省略したものですが、
その意味を強引に説明するならば、

私たち人間は一人一人、ただ現実に存在している物体にすぎず、 道端に転がっている石ころとなんら変わりのない存在であるということです。

いやいやそんなことはない、それはさすがに強引すぎる、と思われてしまうかもしれません。

そして、そのように思われる方はきっと次のように反論するでしょう。

  • 人間には「喜怒哀楽の感情」というものがあって複雑な思考も可能だし、石ころと同じなわけがない。
  • 人間には「人間関係」という複雑な側面があって、石ころと同じなわけがない。
  • 人間には「生まれてから死ぬまでの複雑な体験」があって、石ころと同じなわけがない。

と。

しかし、ニーチェの哲学に言わせてみれば、そのような

  • 「人間には喜怒哀楽の感情がある」
  • 「人間には人間関係という複雑な側面がある」
  • 「人間には生まれてから死ぬまでの複雑な体験がある」

といった意見は、

人間という物体に対する、意味づけや解釈にすぎず、 人間が石ころと全く同じように、ただ現実に存在している物体に過ぎないということを否定することにはつながらない、というわけです。

そしてニーチェは、この「意味づけや解釈」というものを「背後世界」という名前で一括りにしています。

例えばリンゴひとつをとってみても、

私たちはその単なる物体としてのリンゴに、

赤色、甘い、丸い、シャリシャリする、体にいい、美味しい、

といった意味づけや解釈をしています。

ニーチェは、この「意味づけや解釈」というものを「背後世界」と呼んだのです。

まとめると、

見たり触れたりすることのできる世界(現実世界)に、人間が勝手に決めた意味や解釈でできた世界(背後世界)が覆いかぶさっている。

それならば、後付けの意味や解釈でなくて、実際に存在している現実世界にもっとフォーカスすべきだ!

これが、『実存主義』と呼ばれるニーチェの哲学なのです!

幸せも不幸せも自分の思い込み?!

確かに、背後世界の存在に気づかず、外部から押し付けられた社会的価値観に疑うことなく従ったり、人生に意味を見出したりすることで、

かえって、不幸になることってよくあることです。

例えば、

女性は上品で美しくあるべきだ、そして20代で誠実な男性と結婚し、子供を出産。子育てに励み、出来るだけ良い大学に入れる。その後、子供は大手大企業に就職し安定した収入を得る。

こういうことが、社会的に良いとされる、一般的な幸せだと信じ込まれている。

しかし、この思い込みのせいで、尽きない悩みや不幸が生まれているのではないでしょうか。

太っているし美貌も兼ね備えていない私は不幸、

結婚できずに独り身の私は不幸だとか、

頭のいい大学に行けなかったからこれからうまくいくはずもないとか、

お金がないから幸せになれないなど…

実際には存在しないはずの設定を信じ込み、それが達成されないことを失望したり、

人生には意味がある、私の生きる意味はこれなんだと思うことで、かえって不幸を背負ったりすることって日常的によくあるわけです。

今あなたが抱えている悩みの中にも、このような類のものは多いのではないでしょうか。

人生は無価値?!

ニヒリズム

ニヒリズム(虚無主義)

しかし、それなら、今この世に存在する普遍的な価値観とか道徳観とかは勝手に押し付けられたものなんだから、全部無視してしまっても問題ないのではないか!

いい大学になんていく必要ない。やりがいのある仕事になんて就かなくていい。

結婚だって出産だってなんのためにするの!?

夢を叶えてなんになるのか、どうせ死ぬんだったら、人生に意味なんてないじゃないか。

そのように、意味だとか本質だとかを背後世界として一掃してしまうと、今度は逆に、私たちは生きることに絶望してしまうのです。

なぜならば、私たちは単なる物質としての現実存在にすぎない石ころ同然であり、夢も希望も持てなくなってしまうからです。

今まで縛り付けられてきた意味付けからの解放は、一時的な心地よさをもたらすものの、それを突き詰めてしまうと、私たちは何のために生きているかわからなくなる。

この、人生に生きる意味などないとする立場を、ニヒリズム(虚無主義)と呼びます。

ニヒリズムに陥ってしまった人間は、何の夢も目標も持てないまま、トラブルを避けてひたすら時間を潰すだけの人生を送る人間になってしまいます。

そのような状態に陥ってしまうと、この世に存在するものに価値や意味を見出せなくなり、途端にやる気が喪失してしまう状態になってしまうでしょう。

ここまでをまとめると、

人間は単に現実に存在しているだけであり、生まれながらの生きる意味など持っていないが、全てに意味がないとしてしまうと、人間はニヒリズムに落ちて、生きることの高揚感を失ってしまうのです。

それでは一体、ニーチェは私たちに一体どのように生きるようにと説明しているのでしょうか。

永劫回帰を肯定せよ

永劫回帰

ニヒリズムを乗り越えるには?

ニーチェの出した答えは、

「今を肯定する超人」になる

ということです。

簡単に言うと、彼は、開き直って強く生きろ!と主張しました。

人生を含めたこの世に存在する全てのものには価値や意味などない、そう人生に絶望したならば、とことん絶望し、そして乗り越えよ!と訴えたのです。

人間は石ころと同等の存在であることを素直に受け入れて、その上で前向いていきましょう!ということです。

最初は私もなんか強引じゃない?と思ったのですが、彼はそこで「永劫回帰」という概念を持ち出します。

永劫回帰とは無限ループのことです。ニーチェは、この世界は永久に同じことを繰り返す世界だと言いました。

そのようにありとあらゆることが永遠に繰り返されるとするならば、確かにあらゆる価値観が意味を失います。

物事の有限性、つまり量にせよ時間にせよそれらが限られているということが、価値と言うものを保証しているからです。

今を肯定する「超人」

そして、ニーチェはこの永劫回帰の世界を前提とした上で、
無限ループの中の今この瞬間を力強く前向きに肯定してしまえば、無限ループ全体を肯定したことにはならないか、

つまり今この瞬間を肯定できれば、価値の消失した永劫回帰の世界を前向きに生きていくことができる

そう言うのです。

そしてニーチェは今この瞬間を肯定できる人物のことを「超人」と呼びました。

社会から押し付けられた価値観が人生に意味を与えてくれなくなった時、人間はこの超人になる他ないのです。

自分自身の意思で、現実に存在するだけの世界と自分とをただまっすぐに受け入れて肯定していく以外に、ニヒリズムを乗り越え、人生の高揚感を取り戻す術はない、そのようにニーチェは訴えているのです。

まとめ

まとめ

今この瞬間の世界を肯定しよう

以上いかがでしたか?

今日の記事ではニーチェの哲学を簡単に紹介してきました。ざっと振り返りましょう。

人間は社会から押し付けられた架空の価値観に縛られて、自分が不幸だと思いがちだ。

しかし、人間は意味も目的もなく世界に放り出されたただの現実存在であり、人間に設定されている価値や意味などはそもそもない。

だから、社会に蔓延している架空の価値観にとらわれる必要などない。

けれども全ての意味や価値を否定してしまうと、今度は逆に何のために生きればいいのだろうかというニヒリズムに陥って、生きることの高揚感を失ってしまう。

それならばいっそのこと、このニヒリズム的世界、すなわち価値の消失した永劫回帰の世界を受け入れてしまおう、

そして、今この瞬間の世界と自分とが存在することは確かなのだから、それを自分自身の意思で肯定しよう。

自分の自由な意思によって、そうした存在だけが確かな世界を肯定する生き方を選ぼう!

それこそが、再び人生の新たな高揚感を手に入れる方法だ!

ニーチェと芸術

ニーチェは『芸術』というものを高く評価していました。

『芸術』とは、自分自身の価値観の中で、より良い、より素晴らしい、より美しいと思うものを目指して、それを表現する行為です。

まさしく、自己以外のものから与えられた価値観にとらわれず、ありのままの世界を肯定した上で、自身の意思で生きる超人の生き方そのものです。

社会的価値観のせいで辛い思いをしている方も、人生に意味を見出せずやる気を失ってしまった方も、『超人』的に、いや『芸術』的に人生を謳歌してみてはどうでしょうか!

この記事の内容が何か一つでもあなたのお役に立てましたら幸いです。

最後までご愛読ありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。

  • 実存主義
    • 私たちが生きている世界とは、見たり触れたりすることのできる世界(現実世界)に、人間が勝手に決めた意味や解釈でできた世界(背後世界)が覆いかぶさったもの
    • だから、社会に蔓延している架空の価値観にとらわれる必要などない
    • その一方で、全ての意味や価値を否定してしまうと、今度は逆に何のために生きればいいのだろうか(ニヒリズム)
  • 前向きに生きるための考え方
    • この世界は永久に同じことを繰り返す世界(永劫回帰)
    • 価値の消失した永劫回帰の世界を受け入れよう
    • 今この瞬間の世界と自分を肯定する「超人」であれ

P.S.当記事の内容はYoutube動画でも解説しておりますので合わせて御視聴ください。

 

参考書籍
飲茶 (2017) 飲茶の「最強!」のニーチェ 水王舎

竹田青嗣 (1994) ニーチェ入門 ちくま新書

ニーチェの哲学入門
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