対人関係の悩みの背後には認知の歪みがある!
連載企画「人間関係の心理学」の第3回目の投稿です。
今回のテーマは、「人間関係の心理学」ですが、その目的は他者理解を深めることを通じて自己理解を深めること!
前回の投稿では、他者理解を深めるための手段として、過去の心理学者達が提唱した性格分類法を3つ紹介しました。
人を見る観察眼を養うことで人間関係を改善する今回は、「人間関係の心理学」について学ぶ連載記事の2回目です。今回扱う題材は「人間関係の心理学」ですが、その目的は「他者理解を深めることを通じて自己理解を深める」ということです[…]
その3つとは、
- ユングの性格分類
- ローゼンツワイクのパーソナリティタイプ
- 選択理論の5つの基礎欲求
です。
そうした知識というのは、「この人はこういう人だ!」というような正解を求めるような使い方ではなく、
あくまでも他者理解をする際の「視点」を増やす目的で学ぶと良いとは既にお伝えした通りですね。
そして今日の内容では、
今度は対人関係の悩みの方にスポットライトを当て、特に「認知の歪み」という概念について紹介していきます。
認知の歪みとは
認知の歪みとは、主観的な思い込みで物事の捉え方が偏ってしまうことを言います。
この認知の歪みという状態に人は誰しも陥りやすいという事を知っておくことは重要です。
もしあなたが今対人関係において何かしらの悩みを抱えているのなら、その背景には相手か自分に認知の歪みがある可能性が高いでしょう。
そのため、認知の歪みについての理解があれば、対人関係上でのトラブルの多くに対して適切に向かい合う事が出来るとも言えるのです。
10通りの認知の歪み
さて、そんな認知の歪みですが心理学では主に10通りの歪みが取り上げられています。
①全か無か思考
白黒つけすぎる思考のこと。ミスしたことに対して人間失格など、少しでも欠点があると全てダメだと思ってしまう。
②結論の飛躍
ちょっとのことで全てを決めつけてしまう思考のこと。ミスしたことに対して、自分はミスをしたから周りは自分をダメ人間だと思っているに違いないなどと決めつけてしまう。
③過度の一般化
一時的なことに過ぎないのにいつもの事であるように思ってしまう思考のこと。たまたまミスしたに過ぎないのに、いつもミスをしていると思ってしまう。
④すべき思考
◯◯すべき、という理想がありそれにこだわってしまう思考のこと。社会人たるものは仕事でミスをしないべきだ、などと決めつけてしまう。
⑤心のフィルター
ネガティブな要素をピックアップして悲観的になってしまう思考の事。ほとんどうまく行っているのにダメな部分が一部あるとダメだと思ってしまうなど。
⑥マイナス思考
なにごとも悪い方に捉えてしまう思考のこと。褒められたりしても何か裏があるのでは、などと悪いことをついつい考えてしまう。
⑦誇大視と過小解釈
短所や欠点は過大に捉え長所や成功を過小に捉える思考のこと。失敗は責めるが成功は無視するなどになりやすい。
⑧感情の決めつけ
自分と同じように周りの人も感じていると思ってしまう思考のこと。自分が難しいと思ったことは周りも難しい、自分が簡単だと思ったことは周りも簡単、というようにおもってしまう。
⑨レッテル貼り
ダメ人間、嫌われ者、など自分や他者にレッテルを貼って決めつけてしまう思考のこと。貼り付けたレッテルのイメージに沿った決めつけ行為を行なってしまう。
⑩個人化
結果の責任が全て自分自身や特定の個人にあるように思ってしまう思考の事。全て自分で責任を負ってしまったり逆に全て人のせいにしたりしてしまう。
さて以上の10個が、心理学において認知の歪みとして列挙されるパターンとなります。
もちろん、「思い込み」や「決めつけ」というのは時には爆発的な推進力や、勇敢なチャレンジ精神に繋がるなど、良い面もあるといえます。
しかし、もしその傾向が人間関係上のトラブルに繋がっているのなら改善が必要と言えるでしょう。
認知の歪みにどう対処するか
どのような人間関係においても、他者を理解し、自分を理解するというプロセスは大切です。
相手を支配することも、相手に支配されることもなく、互いに尊重し合い柔軟な関係性を築けると良いですよね。
しかし、先ほども述べた通り人は誰しも、ある程度は偏った思考を持っています。
それが度を過ぎて人間関係上の問題の原因となる時、認知の歪みと称されるに過ぎません。
そのことを念頭に、どうすれば良いか。
まず、今抱えている悩みについて、どこか極端な思考が無いか探ってみてください。
それは例えば、
◯◯すべき
◯◯に違いない
◯◯のせいで
などといった発言や思考に隠されています。
先程は10個のパターンを取り上げましたが、どこか極端で偏った思考がないか探すのです。
そして、その偏りが無くなれば問題や悩みも消えそうだと思えるなら、歪みの解消に移りましょう。
そのためには、
先ほどの偏った思考に対して
必ずしも◯◯ではないのでは?
と投げかけその根拠と言えることをいくつか列挙します。
そのプロセスを、認知の歪みを感じる度に繰り返します。
認知の歪みというのは、いわば脳が条件反射的に決めつけてしまっているだけなので、
脳が決めつけ作業を行う一歩手前に介入して、決めつけを中断し、歪みを修正することを繰り返すことで、条件反射的に決めつけてしまうことを止めさせる事が出来るのです。
まとめ
さて今回は、人間関係の心理学を学ぶ上での一つの知識として「認知の歪み」について紹介しました。
認知の歪みが人間関係に与える影響は大きいため、この知識があるだけで
仮に相手が認知の歪みに陥っているのなら、それに巻き込まれないようにするか、訂正してあげる。
逆に自分が認知の歪みに陥っているのなら、先ほどのプロセスを経て改善をする。
というアプローチができます。
前回紹介した、他者を理解する上での視点、そして今回の人が陥りやすい認知の歪みの知識、
この二つだけでも人間関係のトラブルや悩みに対して冷静にアプローチできるようになるはずです。
それではまた次回の投稿でお会いしましょう!