武士道, 新渡戸稲造

武士道とは?新渡戸稲造が残した日本人魂の教え

武士道について動画でも解説をしておりますので是非合わせてご視聴ください。

 

  • 武士道とは何かその要点が分かる!
  • 武士道の教えである義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義のそれぞれの意味が分かる!
  • 武士道の7つの教えを現代社会で生かすにはどうすれば良いのかが分かる!

この記事では、新渡戸稲造によって執筆され後世に読みつがれる『武士道』について、その歴史的背景から内容のエッセンスを紹介していきます。この記事を読むことで、『武士道』を現代社会で活かせる方法について学ぶことができます!

新渡戸稲造の『武士道』について解説!

みなさんこんにちは!

突然ですが、こんな悩みを持っていませんか?

  • 「人間関係に行き詰まりやすい」
  • 「どのように考え行動すればいいのか分からない」

このような悩みを持つ方は、自分に何か問題があるのではないかと思いやすく、
他人と関わる自信を失ってしまったという方も多いのではないでしょうか。

他人と接するときに何を大切にすればいいのか?
それが分かれば、もっと楽に人と良好な関係を築けるようになります。

そんな人間関係の悩みを解消するために注目されているのが、
新渡戸稲造により執筆された『武士道』と呼ばれる本です。

そこで今日の記事では、人間関係に行き詰まったとき、
何を大切にして行動すればいいのか、『武士道』の教えから解説してみたいと思います。

この記事を読み終わる頃には、
現代を生きる私たちが忘れかけていた大切な考え方に気がつけるかもしれません。

是非最後までお楽しみください。

『武士道』はどうして生まれたのか

新渡戸稲造が生まれたのは江戸時代の末期で、
まさに武士の時代が終わろうとしている時期でした。

新渡戸稲造の家は武家の家系で、
彼の父親は地元の開拓事業のリーダーでした。

武士の伝統が色濃く残った家で育った稲造は武士であった父の生き方に影響されていました。

『武士道』が出版された1900年は明治時代の中期。
江戸時代の名残が消えていき、日本が近代化していく時期でした。

そんな時代を背景に、稲造は武士としての心構えが忘れ去られないように『武士道』として後世に残したのです。

稲造は武士道のエッセンスとして7つの教えを解説しています。
それが、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義です。

この7つの教えを通じて稲造は、

  • 人と接するときに何を大切にするべきなのか
  • どうすれば上手く人間関係を築けるのか
  • 人としてとるべき正しい行動とはどのようなものなのか

について、武士の生き方を例に出しながら解説しています。

もちろん、武士の考え方や行動すべてを現代で応用できるわけではありません。
極端すぎて理解できないような、時代錯誤の内容が含まれていることも事実です。

しかし、現代でも共有できる普遍的な教えが含まれているからこそ、
『武士道』は時代を超えて今でも読まれ続けているのです。

それでは、新渡戸稲造の『武士道』のなかの
人間関係を上手く築くヒントになりそうな7つの教えを具体的に見ていきましょう。

人間関係に行き詰ったときに役立つ『武士道』の教え

①義

義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義という7つの教えのなかで、
武士がもっとも重んじたのが義です。

義とは武士として必ず守らなければならない道のこと。
義を重んじないことは、武士として不名誉なことのため、命に代えても守ろうとしました。

義を重んじた行為により後世まで称えられたのが
豊臣秀吉に仕えた武士の石田三成です。

徳川家康が勢力を拡大するなか、主君である秀吉はすでに死去。
しかし三成は、最後まで勝ち目がない豊臣軍を守るために戦ったのです。

勝ち目もメリットもないにも関わらず、主君のために戦った光成は、
義に従って行動したと後世で高く評価されるようになりました。

②勇

勇とは、本当に大切な場面になったら行動を起こす勇気のこと。
闇雲に危険なことをするのではなく、義のために正しいことをなすのが勇とされました。

義のために正しいことをなした人物として語られているのが佐倉惣五郎です。
惣五郎は、飢饉に苦しむ村を救うために、自らの命と引き換えに将軍に直訴しました。

惣五郎の行為は、決して向こう見ずなものではなく、平常心を持ってなされたもの。
冷静な心を失わずに、正しく行動できる人は、真の勇気を持っていると尊敬されたのです。

③仁

仁とは、上に立つものが備えるべきやさしさや思いやりのこと。
地位が高い者ほど、この仁の心を備えることが求められました。

仁を備えた武士として語り継がれているのが熊谷直実。
彼は、戦で組み伏せた敵の17歳の少年を斬った過去がありました。

直実は見逃そうとするものの、少年は後世の恥となるため斬って欲しいと懇願したからです。
戦から帰ると直実は、少年を供養するために武士の名誉を捨てて出家しました。

武士は厳しい戦いに身をさらしているからこそ、やさしさや憐れみを重視します。
仁の心を信じて上の者にすべてを捧げる、これが武士同士のつながりでした。

④礼

礼とは、相手により態度を変えることなく、等しく尊ぶ心のありようのこと。
この心を極めることにより、人として立派に成長できると考えられました。

礼の心を形にしたのが戦国時代の茶人である千利休です。
利休は、稀少さや豪華さではなく、茶道を通じて礼の具現化を追求していきます。

とくに彼が大切にしたのが、一度の出会いを大切に最上のおもてなしをすること。
相手と喜びや悲しみを共有することも、礼のあり方のひとつと考えました。

⑤誠

誠とは、言葉で交わした約束を必ず守ること。
「武士に二言はない」という表現があるように、約束するという行為は絶対でした。

そのため、守れない約束をしたり、ウソをついたりした人は
死をもって償うことが当然とされました。

たとえ悲しい結果になったとしても、
ウソをつくより正直であるほうがいいと武士の世界では考えられたのです。

⑥名誉

名誉とは、義、勇、仁、礼、誠をつくせば得られるもの。
武士にとって名誉を傷つけられることは、何よりも耐え難いものでした。

明治維新の中心人物として活躍した西郷隆盛は、
自分の利益よりも名誉を重んじて行動した人物だったと言われています。

高給取りであるにもかかわらず、自分は質素に暮らして困窮している人を救済する行為は、
武士のなかの武士であると、称えられるようになったのです。

⑦忠義

忠義とは、心の底から人に仕えることです。
武士の世界では、主人に忠誠を誓うために、命を差し出すことすらありました。

忠義は武士固有の考えのため、現代社会では受け入れがたい考えですが、
自分が正しいと思う道に忠義を尽くすと言い換えれば、受け入れやすいのではないでしょうか。

———-

以上のように、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義という7つの教えから、
武士道の教えについて解説しました。

武士の時代と現代の人間関係は性質がかなり異なるため、
「そんなことまではできない…」と驚いてしまった人も多いでしょう。

もちろん、武士道の教えをそのまま実践することは不可能ですが、
その本質を現代社会で応用することは十分に可能です。

そこで次に、武士道を日常生活で実践する方法について、
7つの教えから考えていきましょう。

武士道の教えを日常生活で実践する

①義の実践

大切な人が窮地に陥っているときや、自分がとるべき対応を考えるときに、
必ず守らなければならない道である義がヒントになります。

大切な人を助けても自分の利益にならない、
また、助けても結果は変わらないかもしれない。

そのようなとき、「無駄だ」「無意味だ」と考えてしまう人は、
義を重んじていないのかもしれません。

上手くいくかどうかは別にして、大切な人を助けようと行動を起こすことが、
大切な武士の道であると考えられたのです。

②勇の実践

勇とは、本当に大切な場面になったら行動を起こす勇気のこと。

勇は、たとえ自分が不利になる可能性があったとしても、
人々を良い方向に導く強い気持ちがあることで発揮されます。

例えば、学校でクラスメイトが一方的にいじめられているとき、
大部分の人は見て見ぬふりをするものです。

そのようなとき、自分がいじめの標的になる可能性があっても先生に状況を訴える。
勇気ある行動によりクラスメイトは救われ、クラスの状況もまた改善されるのです。

③仁の実践

上に立つものが備えるべきやさしさである仁。
この教えは、会社の上司と部下の関係を築くときに活かされるでしょう。

会社でチームをまとめることになったものの、部下と接する方法が分からない。
そのようなとき、部下に対してついつい遠慮がちになってしまうものです。

しかし、心の距離を縮められないと、部下は成長するチャンスを失うばかりか、
チームも十分な結果を出すことができず、全員の評価が下がってしまいます。

褒める、注意する、いたわるなど、厳しさとやさしさを持って接すれば、
上司と部下の真の信頼関係が生まれ、有意義な仕事ができるようになる
のです。

④礼の実践

礼は、相手により態度を変えず、等しく尊ぶ心であることはすでに説明しました。
真の友人とすでに出会えている人は、この教えを無意識に活かしているかもしれません。

友だちはたくさんいるけれど、自分の心を開けるような相手がいない。
楽しく遊んだりおしゃべりをしたりしていても、どこか心が満たされない。

友だちがたくさんいても、平等に接していない人は、相手にも同じ態度をとられています。
人間関係は表面的なものにとどまり、深くかかわりあうことができません。

誰にでも誠意をもって対応する人は、相手からも同じような対応が得られます。
その結果、喜びも悲しみも分かち合える、心から信頼できる人に出会えるのです。

⑤誠の実践

お客様を相手とする仕事の結果が出ないとき、
約束を必ず守ることを絶対とする誠が活かせるでしょう。

お客さんはそこそこ来るのに売り上げが一向によくならない。
とてもいい商品なのに、なかなか購入してもらえない。

そのようなとき、お店とお客様の関係はどうなのか、振り返る機会を持ってみましょう。
もしかするとお客様と十分に信頼関係が築けていないのかもしれません。

会話の機会を増やす、アフターフォローを充実させる、一人一人の好みを把握する。
「このお店は約束を守る」と知ってもらえば、信頼度があがって商品の購入につながるかもしれません。

⑥名誉の実践

義、勇、仁、礼、誠を尽くすことにより得られる名誉。

自分の利益ではなく、人として大切なことを追求することで得られます。

人が困っていることを知ると、見捨てることができずに、
経済的に支援したり、何かと援助を申し出たりする人がいると思います。

現代社会では、このような人は「お人好し」と呼ばれ、
お金に結びつかないことばかりしていると、冷めた目で見られることも少なくありません。

しかしながら、武士道の教えに従うと、お人好しと呼ばれる行為は、
将来なからず評価され、後世に語り継がれる名誉となる
のです。

⑦忠義の実践

忠義とは、主人に対する強い忠誠心をあらわしていることはすでに解説しましたが、
現代は誰かに仕えるという状況がないため、受け入れづらい教えではあります。

ただ、それを現代風に解釈してみると、友人、同僚、上司、夫婦など、
さまざまな人間関係に応用できる教えです。

心の底で何かを我慢したり、一方的にどなりつけたりしていると、
いつまでたっても良好な夫婦関係を築くことはできません。

日ごろから誠意ある対応をするとともに、間違いがあればそれを正す。
そうすることで厳しい局面になってもゆるがない絆が生まれるのです。

まとめ

以上いかがでしたか?

この記事では、人間関係に行き詰まりやすいと思ったとき、
どのように考え行動すればいいのか、新渡戸稲造の『武士道』からご紹介しました。

私たちは生きていると、どのように人と関わればいいのか分からず、
本意ではなくても、相手を怒らせたり悲しませたりしてしまうことがあります。

人間関係が上手くいかない原因が分からないまま、
気が付いたら周囲からの信頼を失ってしまったということもあるのです。

『武士道』を通じて伝えられたいちばん大切な教えは、
どのような状況に陥ったとしても、自分が正しいと信じる道を選ぶこと。

他人に対して思いやりを持ち、必要なときには勇気を出して行動する。
そうして選んだ道は、そのときは批判されたとしても、きっとあとで評価されるでしょう。

また今日の記事のように、人生にまつわる悩みを解決するための方法として、
下記の記事では、先人の教えを分かりやすく解説しておりますので、ご興味のある方は是非合わせてご覧ください。

この記事の内容が何か一つでもお役に立てておりましたら幸いです。

最後までご愛読ありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう!

  • 武士道とは
    • 明治時代の中期、江戸時代の名残が消えていくなかで武士として尊ぶべく徳目をまとめたもの
    • この教えは主に人間関係を築いていく上で現代社会の中でも活かせる
  • 武士道7つの教えと現代社会での活かし方
    • ①義
      ・武士として必ず守らなければならない道のこと
      ・大切な人が窮地に陥っているときや、自分がとるべき対応を考えるときに、必ず守らなければならない道である義がヒントになる
    • ②勇
      ・闇雲に危険なことをするのではなく、義のために正しいことをなすのが勇とされた
      ・勇は、たとえ自分が不利になる可能性があったとしても、人々を良い方向に導く強い気持ちがあることで発揮
    • ③仁
      ・上に立つものが備えるべきやさしさや思いやりのこと
      ・会社の上司と部下の関係を築くときに活かされる
    • ④礼
      ・相手により態度を変えることなく、等しく尊ぶ心のありようのこと
      ・誰にでも誠意をもって対応する人は、相手からも同じような対応が得られる
    • ⑤誠
      ・言葉で交わした約束を必ず守ること
      ・人間関係においても約束を守ることを大切にする
    • ⑥名誉
      ・義、勇、仁、礼、誠をつくせば得られるもの
      ・人が困っていることを知ると、見捨てることができずに、経済的に支援したり、何かと援助を申し出たりする
    • ⑦忠義
      ・心の底から人に仕えること
      ・日ごろから誠意ある対応をするとともに、間違いがあればそれを正す。そうすることで厳しい局面になってもゆるがない絆が生まれる

参考書籍:
新渡戸 稲造, 岬 龍一郎 (翻訳) (2005) 武士道 PHP研究所
新渡戸 稲造, カネダ工房 (2016) まんがで人生が変わる! 武士道: 世界を魅了する日本人魂の秘密 三笠書房

武士道について動画でも解説をしておりますので是非合わせてご視聴ください。

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