【うつ病治療】うつの原因は脳の炎症にある!(鬱病の炎症モデルとは)

この記事のポイント
  • うつ病治療の「革命」とも称される炎症モデルとは何かが分かる!
  • どうしてうつ病に繋がるような炎症が起きるのかが分かる!
  • どうすれば鬱病に繋がる炎症を予防できるのかその方法が分かる!

この記事では、鬱病の原因を脳や心にあるとするのではなく、その根本的な原因を身体的な「炎症」にあるとする「うつ病の炎症モデル」について、医学的な知識の無い人にとっても分かりやすく解説をしていきます。

うつ病治療の「革命」

みなさんこんにちは!ライフハックアニメーションです。

今日の記事では、うつ病治療に起きつつある「革命」とも称される、

「うつ病の炎症モデル」

について解説をしていきます。

以前、こちらの記事では、

うつ病・慢性疲労・老化
【現代病の原因】炎症とうつ病・老化・慢性疲労の関係性とは現代病の原因として、体内で起きる炎症について、その正体と理由を解説。また、うつ病・慢性疲労・老化とそうした炎症との関係性についても解説。...

身体的な炎症が、
老化や慢性疲労、うつ病の原因となっていること、

そしてその原因から解決方法までを解説しましたが、

そうした身体的な炎症が、
いったいどのようなメカニズムで「うつ病」に繋がっているのか、
という部分については、軽く触れた程度でした。

そこで今日の記事では、

まさにその、身体的な炎症が、
いかにして「うつ病」ないし憂鬱な精神状態に繋がるのかという、

プロセスに焦点を絞り解説をしていきます。

今日の記事を見ることで、

「うつ病」に対するアプローチとして今注目されている、

うつ病の炎症モデルについて、その基本的な知識を学ぶことができます。

是非最後までお楽しみください。

うつ病の炎症モデルとは

うつ病の炎症モデル

そもそも「炎症」とは何か?

それを端的に説明するならば、

外部からのダメージに反応して、
肉体が自らを守ろうと動き出す免疫システム

であると言えます。

そして、

「うつ病の炎症モデル」

とは、

そうした身体的に起こった炎症が根本的なきっかけとなり、
最終的にうつ病に至るとする考え方です。

その仕組み

このうつ病の炎症モデルのメカニズムを簡単に説明しますと、

まず最初に、身体が何らかの原因により炎症反応を起こします。

炎症反応の結果、

「サイトカイン」

というストレス性のホルモンが血中を巡り、
体のいたるところに強い炎症作用を引き起こし始めます。

そして、

その作用が、脳に行き届いた結果、脳細胞に変化が起き、
考え方や感情の変化として表面化し、最悪の場合には「うつ状態」に至るというものです。

これまで、

サイトカインをはじめとする免疫系のタンパク質は、
脳に入り込めないというのが定説だったのですが、

実はサイトカインによる炎症シグナルは脳の神経細胞にも伝わり脳内に炎症を起こしていることが分かったのです。

注目される理由

うつ病と炎症の実験結果

この、「うつ病の炎症モデル」が今注目されている理由は、

従来のような、セロトニンをはじめとする神経伝達物質によるうつ病の説明では説明しきれない事が、
うつ病の炎症モデルならば説明ができるということ、

そしてそうした「うつ病の炎症モデル」を裏付けるような研究結果が次々と明らかにされ始めているということがあります。

例えば、

ラットにサイトカインを直接注射したところ、
他のラットとの接触を避け、あまり動かず、食欲不振、睡眠の乱れ、といったうつ状態の人と似た行動をとるようになります。

また、

うつ病の人とそうではない人との血液中のサイトカインの濃度は、うつ病の人の方が一般的に高く、
イギリスで2000人の高齢者を8年もの間追跡した実験では、うつ状態に至る前の兆候として、血中のサイトカインの濃度が有意に関係していることがわかりました。

他にも、

B型肝炎の治療に使われるインターフェロンは、サイトカインの一種であり、インターフェロンを注射された患者の1/3は、
食欲不振に加え睡眠は乱れ、自己批判感情、罪悪感、悲観的な考えに囚われ、何事にも楽しみを見出せないという、うつ状態になることが分かりました。

このように、

「うつ病の炎症モデル」においては、その鍵はサイトカインにあり、
そのサイトカインは、体の免疫システムが作動した結果分泌されるのです。

それでは一体どのような時に、炎症は起きるのでしょうか。
そして一体どうしてそうした炎症は、うつ病に繋がるのでしょうか。

脳の炎症がうつ病に繋がる理由

炎症とうつ病の因果関係

炎症が起きる原因は実は多くあります。

一番分かりやすいのは、
転んで膝を擦りむいて赤く腫れ上がるといった、外傷的な原因です。

しかし、そうした分かりやすい原因だけではなく、

  • 社会的なストレス
  • 不健康な食生活
  • 過剰な内臓脂肪

なども炎症の原因となります。

そして、

これらとうつ病との関係性には、

炎症が鬱に繋がるという単純な因果関係ではなく、
うつ状態がさらなる炎症の引き金となり、さらにうつ状態が悪化する、という

サイクル状の関係性

が成り立っています。

鬱と炎症の相互作用

社会的なストレスとうつ病

例えば、

社会的なストレスがうつ病の原因となる例を取り上げると次のようなストーリーが作れます。

まず、

仕事上での過労やプレッシャー、もしくは死別、借金、孤立、貧困、突然の別れ、といった強烈なストレスが、
ダイレクトに精神的な疾患に繋がるのではなく、

まず身体的な炎症反応として起き、サイトカインが血中を巡り始めます。

血中を巡るサイトカインは、
脳内にも炎症を引き起こし、脳細胞を変化させ、脳の働きに影響を与えます。

その結果、気分や行動、認知の面で変化が起き、
社会から距離を置こうとする傾向を持ち、気分は落ち込み、身体の活動レベルが低下し始めます。

それにも関わらず、回復の時を待たずして、
再び社会に出ていく、もしくは社会に出ていかねばならないと感じ、以前よりもストレスを強く感じます。

その結果、

さらに身体的な炎症反応が起き、もっと多くのサイトカインが血中を巡ります。

後は先ほどと同じことの繰り返しで、
雪だるま式に炎症反応がどんどん大きくなっていきます。

そして、その最たる結果として、
脳内が炎症に侵され、うつ病という病にかかってしまうわけです。

うつ状態になる進化生物学上の仮説

うつ病の進化生物学上の仮説

しかし、

そもそもなぜ血中を巡るサイトカインは、脳にも炎症を起こし、
人生を生きづらくするような状態に私たちを変えてしまうのでしょうか。

その理由として、まだ明確な答えは解明されておりませんが、

進化生物学上の仮説としては、

人類の進化の過程の自然淘汰の中で、
体の炎症反応の結果として「うつ」の傾向を持つことが生き残る上で有利であった

という事が考えられています。

つまり、

人類がまだ狩猟採集民であった時代においては、

ちょっとした炎症反応がきっかけで感染症を患うことこそが、
死亡リスクを圧倒的に高める要因でした。

そのリスクを最小限におさえるために、体が炎症反応を起こしている時には、
そこからの回復に専念できるように、

社会的な関わりをあえて避け、肉体の活動レベルを抑え、じっとしている事が最も好ましかったという事が考えられています。

既に知られている通り、
私たちの肉体は、現代の今でもなお、人類の歴史の大部分を占めていた狩猟採取民の時のままです。

すなわち、

私たちは炎症が起きた時は、あらゆる面での活動レベルを下げるように遺伝子レベルでなっているわけです。

そのため、

肉体的には回復に専念するためにあえて「うつ状態」になっていると言えるのですが、

現代においては、
その「うつ状態」がさらなる「うつ状態」への加速要因となってしまっています。

どのように治療すれば良いのか

うつ病治療の方法

それでは一体、
私たちはどのようにうつ状態から抜け出すことが出来るというのでしょうか。

考えうる最も効果的な方法は、

そのうつ状態から、さらなるうつ状態へと至る

負のスパイラルの連鎖を早急に断ち切る

ということです。

もう一度、
先ほどの炎症とうつの関係性のサイクルを見てみましょう。

まず何らかの原因がきっかけとなり、

炎症が起き、

その炎症が脳に至り、

気分や行動、認知の面で変化が起きます。

本来ならば、時間が経つにつれ炎症は収まり、
気分や行動、認知の面で起きた変化も元に戻ります。

しかし、

そうした脳内での変化が、さらなる炎症のきっかけとなる場合、
負のスパイラルに入ってしまうわけです。

この負のスパイラルにおいて、唯一、私たちが自らの意思で手を加えられる部分は、

炎症が起きる一歩手前の段階です。

つまり、

炎症の原因を取り除く

ということです。

炎症の原因を取り除く

炎症の原因には何があるでしょうか。

おそらく多くの人にとっては、

ストレス

がまずあると思います。

そして、盲点としては、

食生活にも炎症の原因はあり、
さらには溜まった内臓脂肪自体にも炎症の原因があることが知られています。

人によって、炎症の原因は異なりますが、

少なくとも、

身体的な炎症の原因を取り除くことこそがうつ病からの脱却の方法であると、
うつ病の炎症モデルは明らかにしているのです。

うつ病の炎症モデルまとめ

以上いかがでしたか?

この記事では、

従来のうつ病治療に起きつつある「革命」とも称される

「うつ病の炎症モデル」

について、なるべく分かりやすく解説をしてきました。

うつ病の炎症モデルにおいては、

炎症の原因を断つことが、重要であるとは既に述べた通りです。

炎症の原因と、その対策方法については、

昔と比べた時に、

  • 多すぎる事を減らす
  • 少なすぎる事を増やす
  • 新しすぎる事を緩和する

という面からの話を、

冒頭でも取り上げたこちらの記事にて解説をしておりますので、

是非合わせてご覧ください。

うつ病・慢性疲労・老化
【現代病の原因】炎症とうつ病・老化・慢性疲労の関係性とは現代病の原因として、体内で起きる炎症について、その正体と理由を解説。また、うつ病・慢性疲労・老化とそうした炎症との関係性についても解説。...

また、

炎症の原因を取り除くという観点から、

ストレスに行動や認知の面からアプローチしていく方法としてはこちらの記事が、

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また食生活や内臓脂肪といった炎症の原因にアプローチしていく方法としてはこちらの記事の内容が、

役に立つかと思います。

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なにか一つでもお役に立てていれば幸いです。

また、うつ病と炎症の関係性について、もっと詳しく調べたいという方には、
こちらの書籍がおすすめです。

当記事の内容は、動画でも解説をしておりますので、合わせてご覧いただけますと理解が深まります。

最後までご愛読ありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。

内容の要点メモ
  • 炎症とは外部からのダメージに反応して肉体が自らを守ろうと動き出す免疫システム
  • 「うつ病の炎症モデル」とは、身体的に起こった炎症がきっかけとなり最終的にうつ病に至るという理論
    • うつ病の炎症モデルのメカニズム
      • 何らかの原因による体が炎症反応を起こすと、ストレス性ホルモンの「サイトカイン」が分泌される
      • サイトカインは、血中を巡りいたるところに炎症作用を起こす
      • サイトカインの炎症シグナルは脳にも届き、脳でも炎症
      • 炎症を起こした脳では脳細胞が変化し、気分・感情・認知の仕方が変化する
      • それが繰り返され悪化を続けると「うつ病」に至る
  • サイトカインと鬱の関係を調べた実験
    • ラットにサイトカインを注射すると鬱症状の人と同じ行動をとる(孤立・動かない・食不振・睡眠の乱れなど)
    • うつ病の人とそうでない人との血液中のサイトカインの濃度はうつ病の人の方が高い
    • 二千人の高齢者を8年追跡した実験では、うつ病に先立って、体内のサイトカインの濃度が有意に関係していることがわかった
    • サイトカインの一種であるインターフェロンを注射された患者の3分の1は、うつ状態になる(自己批判感情・罪悪感・悲観的)
  • 炎症の原因
    • 外傷(切り傷、虫歯なども)
    • 社会的なストレス
    • 不健康な食生活
    • 過剰な内臓脂肪など
    • 炎症→鬱、の因果関係だけではなく、鬱→炎症の因果関係も成り立ち、悪化が加速しやすい
  • うつ病の進化生物学上の仮説
    • 人類の進化の過程の中の自然淘汰の中では、炎症を起こした結果としてうつ状態になることが、生存競争上有利に働いていた。
    • 些細な炎症が、感染症の原因となることが、当時の死亡リスクの最たるもの。
    • 炎症を起こした際は、あえてうつ状態になり活動レベルを下げることで回復に専念できた。
    • 他者と関わらない、食欲を下げる、動かない、といった状態は、回復に専念するためには有効だった。
  • うつ病はいかに治療するべきか
    • うつ病の炎症モデルに基づき、既存のうつ状態が、さらなるうつ状態へと発展する負のスパイラルの連鎖を早急に断ち切る
    • 炎症と鬱のサイクルの中で唯一、自分の意思で介入できるのは、炎症げ起きる一歩手前
    • つまり、炎症の原因を取り除く
  • 炎症の原因を取り除くには
    • 昔と比べて
      • 多すぎる事を減らす
      • 少なすぎる事を増やす
      • 新しすぎる事を緩和する
    • ストレスを軽減する
      • 行動の面から(瞑想・運動・睡眠・健康な食生活など)
      • 認知の面から
    • その他の原因への対策
      • 食生活を見直す
      • 内臓脂肪を減らす

参考文献:
エドワード ブルモア(2019) 「うつ」は炎症で起きる , 藤井 良江訳 草思社
鈴木祐(2018)最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ クロスメディア・パブリッシング
最上 悠(2011) 「脳の炎症」を防げば、うつは治せる 永岡書店