モチベーションアップの連載企画、今回は第7回です。
今回からは、今月のチャレンジをあなたの今後の人生にも活かしていただけるような応用力の磨き方や、
実践する上でのコツについて、数回に分けてお届けしていきます!
その中でも今回のテーマは、「意図した行動の邪魔になる習慣を断ち切る方法」。
たとえば、こんなことってありませんか?
- 毎日ブログを書くと決めたけど、ネットゲームをしているうちに日が暮れてしまった・・・
- 資格勉強をすると決めたけど、SNSをチェックしているうちに小1時間経ってしまった・・・
- 早朝ランニングをすると決めたけど、今朝は二度寝してしまい、出勤時間になってしまった・・・
このような場合、自分の意思で決めた行動(ここでは便宜的に「良い行動」と呼びます)を実行するためには、
それを邪魔する行動(ここでは便宜的に「悪い行動」と呼びます)を断ち切る必要があります。
この記事では、「悪い行動・習慣」をやめられないのはどうしてか、また「悪い行動・習慣」をやめるためには具体的にどうすればいいのか、という疑問にお答えします。
それでは早速見ていきましょう!
自己コントロールを邪魔する行動をやめられないのはどうしてか?
その背景には、「ドーパミン」という神経伝達物質が関わっています。
私たちが何らかの外的情報(例:美味しいケーキの匂いや福沢諭吉の札束の重み、SNSの「いいね!」の数など)を鼻や手や目などの感覚器官でキャッチし、
脳が「欲しい!」と思った場合、脳の中ではドーパミンという神経伝達物質が放出されます。
脳内でドーパミンが放出されると、いわゆる興奮状態になり、
「欲しいもの」を何が何でも、出来るだけたくさん、そしてすぐに手に入れなければ満足できなくなります。
そのため、その「欲しいもの」の内容が甘いお菓子やスマホ、ゲームのワクワク感など
、意図した行動を邪魔する内容であった場合に、意図して決めた「良い行動」がそっちのけになってしまうのです。
このようにドーパミンが刺激されて起こる神経回路(「報酬系」とも呼ばれます)は、
人類の初期の頃、限られた食糧を素早く確保する際などに活躍していました。
つまり、本能的に備わっている仕組みなのです。
しかし!現代社会において私たちが意図した行動を実行しようとする時、このドーパミンがちょっぴり曲者です。
ドーパミンがもたらす幸福感のワナ
原始時代とは違って現代社会には、過剰なほどの食べ物や魅力的な商品、娯楽など、外的刺激がありふれていますよね。
その結果、ドーパミンが過剰分泌されやすくなっています。
ドーパミンが過剰分泌されると、
たとえ自分の意思を邪魔する行動であると頭で分かっていたとしてもその行動をやめられない、
ということが起こります。
つまり、自己コントロールができない状態になるというわけです。
しかも、アメリカのスタンフォード大学の研究によると、
ドーパミンが分泌されることによって私たちは「欲しいものを得られる」という期待・予感を抱くように仕向けられるものの、
「欲しいものが得られた」という実感はもたらされないということが分かっています。
つまり、
ドーパミンが分泌されるたびに「あれが欲しい、これが欲しい」という衝動にしたがって行動するよう仕向けられるものの、いつまで経っても満足感が得られずに「もっともっと欲しい」と求め続けることになってしまうのです。
では、そんなドーパミンの過剰分泌をおさえ、自分の意思を邪魔する行動を断ち切るためにはどうすれば良いのでしょうか?
「悪い習慣」を断ち切る方法3選
①物理的刺激を撤去
先ほどお伝えしたように、ドーパミン分泌の直接的な原因になるのは、外的にある刺激です。そのため、悪い習慣を断ち切るためにはまず、自分の目や耳や口に入ってくる物理的刺激を減らしましょう。
たとえば、
・机の上に置いてあるスマホは電源を切って別の部屋に移動させる
・続きが気になってしょうがない漫画は本棚の奥の方の取り出しにくい場所に隠す
・ビールやお菓子などをまとめ買いしない
などなど、自分の身の回りにある刺激物を意図的に減らすことで、ドーパミンが刺激される可能性をある程度下げられるはずです。
②承認欲求を逆手にとる
私たち人間は、良くも悪くも、人にどう思われるだろう?ということを気にしやすいという特徴がありますよね。
人間ならではのこの特徴を逆手にとることで、自己コントロールを強化することができます。
たとえば、
- 筋トレをするとみんなに宣言したのに、三段腹は恥ずかしいな・・・
- タバコを吸ったら家族に臭いと言われるだろうな・・・
- 毎日ニコニコ爽やかな挨拶を続けたら、職場でモテるかも・・・
- 自分がこれを10年続けられたら、世の中の人に感動を与えられるかも・・・
など、周りの人たちに認めてもらえるだろうか、あるいは認めてもらえないだろうかと想像してみることで、意図した行動を続けようという気持ちが強くなることが期待できます。
③「してはいけない」と思い過ぎるとしたくなる
以前の記事でご紹介したお話とも共通していますが、
何かを「考えてはいけない」とコントロールしようとすればするほど、むしろその行動をしたくなるという性質が脳にはあります。
心理学者のダニエル ・ウェグナー博士によると、
「何かを考えてはいけない」という指令を脳が処理するプロセスは「オペレーター機能」と「モニター機能」に2つに分かれているそうです。
オペレーター機能は、「考えてはいけないという指令」にしたがって、それ以外のことに意識を向けさせようとします。
これは、意志力の管轄範囲ですね。
一方、モニター機能は、「自分は考えたくないことを考えている」という事実を自動的に認識します。
自己コントロールがうまくできている時というのは、オペレーターとモニターは並行して作動しています。
しかし、
意志力の使いすぎによる疲労など、何らかの理由でオペレーターがうまく作動しなくなると、モニターが暴走してしまい、考えたくないことをむしろ考えてしまう
ということが起きます。
意志力が疲労することはいつでもあり得ることなので、疲労に対処するのはもちろんのことですが、
モニター機能によって「考えてはいけない」対象物が増幅されないようにすることも大切です。
つまり、
悪い行動をしたいという気持ちが湧いてきたときは、それを「してはいけない」と思いすぎない。
「煩悩よ、立ち去れ〜」というのは逆効果。
このことも、自己コントロールのコツとして心に留めておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、「悪い行動」を簡単に続けられるのはどうしてか、その原因としてドーパミンによる報酬系の神経回路について解説しました。
①物理的刺激を撤去
②承認欲求を逆手にとる
③「してはいけない」と思い過ぎるとしたくなる
これら3つを意識することで、意図した行動の邪魔になる行動・習慣を断ち切っていきましょう!
大小様々なチャレンジに取り組んでいるみなさんにとって、この情報が何か一つでもお役に立てておりましたら幸いです。
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